端羽英子(写真右)◎ビザスク代表取締役CEO。ゴールドマン・サックス、日本ロレアル、ユニゾン・キャピタルを経て、2012年3月、ビザスク創業。|瓜生英敏(写真左)◎ビザスク取締役COO。ゴールドマン・サックス・マネージング・ディレクターを経て、18年2月にビザスク入社。同年9月より現職。ビザスクは20年3月に東証マザーズに上場。21年11月、米コールマン・リサーチ・グループを買収した。
「はじめから世界を見ていたが、まず日本で圧倒的な1番になり、『強み』をもって世界と戦おうと話していた。20年3月に上場して国内のデータベースもしっかりできたので、いよいよ武器を持ってグローバル展開する時期だろうとM&Aも意識し始めた」と語るのはビザスク代表取締役CEOの端羽英子だ。買収の狙いは「世界一のナレッジプラットフォームをつくるため」であり、事業シナジーを最大化させる。コールマン社は米・英など3カ国・5拠点で展開しており、ビザスクは世界7拠点になる。
同社取締役COOの瓜生英敏は、前職ゴールドマン・サックス証券時代、約20年間M&Aを手がけ、東芝メモリ(現・キオクシア)の超大型案件をまとめた。瓜生そして取締役CFO・安岡徹がいたからこそこの買収が実現できたと端羽は言う。
瓜生は次のように話す。「『小が大をのむ』というのは体の大きさは確かにそうですが、我々は上場企業として高い成長をつくれているので評価された。海外展開というストーリーに対して、さらなる成長機会だととらえていただいたので資金調達もできた。このM&Aの時期が早かったか、遅かったかはわからないが、このチャレンジができることはすごく運がよかった。挑戦したくてスタートアップにきたわけですから」。
「グローバル第一想起」時代
「資本のグローバル化がもう一段前に進んだ。海外機関投資家などが投資判断しやすいSaaS、Fintech領域を中心に大型資金調達が相次いだ。海外調達は超優良企業のみが挑戦するものから、スタートアップ側の『選択肢の第一想起』に変わったのではないか」と指摘するのは、シニフィアン共同代表の村上誠典だ。そしてその進化のフロントランナーが、「これまでにない、評価額ユニコーン超えのラウンドを気軽に刻んでいった」(Drone Fund代表パートナー・千葉功太郎)、スマートニュースだ。同社は2021年9月、シリーズFラウンドで国内最大規模251億円の資金調達を行った。19年12月のシリーズEラウンドでの企業価値1222億円から2100億円以上となった。
「僕らにとっては『世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける』というミッションの実現がすごく大事で、そのためにいちばん正しい判断をしていく。今回に関しては、本当によい投資家に入ってもらえたことに尽きる」と話すのはスマートニュース代表取締役会長兼社長CEOの鈴木健だ。