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2022.02.17 08:30

「ギアチェンジ」したスタートアップの進化──起業家たちの未来を読む

2021年、日本のスタートアップ・シーンは大きく飛躍した。そのキーワードとなるのは「グローバル」だ。


日本経済の新たなけん引役であるスタートアップが「新しい進化」の物語をつむごうとしている。2021年に明らかになった「グローバルからの関心と資本」がトリガーとなり、本格的に動きだした。象徴的な3つの出来事が起きた。

ひとつは、投資額、件数とも世界最大級のベンチャーキャピタル、ソフトバンクグループ傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が17年の活動開始以来、はじめて日本企業(バイオスタートアップのアキュリスファーマ)への投資を行ったことだ。

ふたつめは、米決済大手のペイパル・ホールディングスによる、あと払い決済のペイディの3000億円での買収だ。海外企業による、日本で数少ないユニコーン(評価額1100億円以上の未上場企業)の「桁違い」の大型M&A(合併・買収)という構図が生まれた。

最後は、「起業家ランキング」1位のSmartHR(スマートHR)による、海外投資家らからの約156億円の大型資金調達だ。同社はシリーズDラウンドで、米投資ファンドのライト・ストリート・キャピタルをリード投資家に、新規投資家として米セコイア・キャピタル・グローバル・エクイティーズをはじめ、海外投資家7社、国内投資家1社から調達。評価額は1731億円にのぼる。

「海外投資家がリードし、調達の規模感、バリュエーションの高さと、すべてが日本のスタートアップ市場の進化を象徴している。上場時点での『メルカリ超え』も視野に入っており、日本市場が一段底上げしたと感じる」と話すのは、WiL・CEOの伊佐山元だ。



2021年上半期の国内スタートアップ資金調達額は、3245億円にのぼり、半期では過去最高額を記録。コロナ禍の影響で一時的に落ち込んだ20年だったが、上昇トレンドが回復した。そして、海外投資家、かつ、VC以外の投資家からの大型調達事例の増加も加速している。前述のSmartHRをはじめ、起業家ランキング上位企業も同様だ。2位のキャディ、3位アンドパッド、5位のアタマプラスなど数多い。そのほかにも、新素材を開発するスパイバーが米投資会社カーライル・グループなどから約344億円を調達。情報・ニュースアプリ開発のスマートニュースも米ヘッジファンドや米VCなどから約251億円を調達した。「著名から無名まで海外投資家の参入が一気に増加した」のがいまだ。海外投資家からの大型の資金調達の流れにより、日本でもユニコーン企業数は10社となった。
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文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.089 2022年1月号(2021/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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