ビジネス

2022.02.18

2022年のクリプト業界、5つの予測

Yuichiro Chino / Getty Images


予測2:機能的NFTが普及する


21年はNFTが躍進した年だった。特に、NFTのユースケースは、デジタルアートや収集品に紐づいたNFTが注目された。これは、ユーザーにとって「わかりやすさ」という意味でとっつきやすかったが、一旦購入すると「所有欲」は満たされるものの、対象が静的であることが多いため、そこからの発展性が乏しかった。

NonFungibleのデータによると、NFT販売額のうちアートと収集品を対象としたNFTは現在も9割近くを占めるが、22年はこれらのカテゴリーを超えたさまざまな「機能的NFT」がより注目を集め、その販売額割合も徐々に増えていくだろう。例えば、コンサートのチケットやファンクラブへの参加権などアクセス権を与えるもの、ゲームのアイテムやメタバースの中の土地など、単に所有欲を満たすだけではなく、実際にそれを使って何かができるものを指す。これらの多様なユースケースに後押しされて、NFTの市場は今後も拡大を続けるだろう。


表1:NFTの販売額に占める各カテゴリーの割合(出典:“Q3 2021 NFT Quarterly Report”, NonFungible)

予測3:DAOが飛躍的に進化を遂げる


20年はDeFi(分散型金融)の年、21年はNFTの年と言われた。22年は目下のところ、「DAO」の年になるだろうとクリプト業界ではまことしやかに囁かれている。DAOとは自律分散型組織のことで、共同のミッションのもと、中央的組織なしにスマートコントラクトを中心に据えて自律的に動く組織のことを指す。これまでの伝統的な株式会社の組織体系とは別の新たな組織形態を提供することで注目されている。


図2:組織のあり方の変化(出典:collegeathleteinsight.com を参照して作成)

元々、DAOは15年頃から実験され始めたが、当時は先駆者であったThe DAOというDAOプロジェクトのハッキング事件が起こったことで一旦下火となった。しかし、その後の着実な技術革新で21年から怒涛のDAOラッシュが始まりつつある。DAOが保有する共有資金口座の総額はすでに2兆円近くに達している。DAOにはさまざまな種類があり、共同投資のためのDAO、プロトコル開発のためのDAO、サービス提供のためのDAOなどがある。まだ試行錯誤の段階だが、特にDAOの特長が活きやすい分野で今後DAOの成長が加速していくだろう。

現在、DAOにおける分散型運営を効率的に行うためのさまざまなツールやインフラが急ピッチで開発されている。例えば、AragonはDAOを作るための基礎的なプラットフォームを提供するプロジェクトだ。他にもDAOのメンバー間のコラボレーションツールや、ガバナンスツールなどが開発されている。これらのツールやインフラによって、22年はより多くのDAOが誕生し、それに参加するメンバーも急増することが予想される。ゆくゆくは誰でも簡単にDAOを立ち上げることができる世界になるかもしれない。


図3:DAOのランドスケープ(出典:Cooopahtroopa
次ページ > 現実社会よりもメタバースで稼ぐ人たちが多くなる?

文=吉川絵美

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事