声優・花江夏樹、大事なときほど「つくらずに」勝負する

花江夏樹(撮影=小田駿一)

花江夏樹(撮影=小田駿一)

高校2年で声優を志し、2011年にデビュー。それから10年、花江夏樹は「四月は君の嘘」の有馬公生役や、「東京喰種トーキョーグール」の金木研/佐々木琲世役など多くのキャラクターを演じ続け、2020年には『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎役で一気に人気を爆発させた。

声優としてはもちろん、ラジオパーソナリティやテレビ出演など活躍の幅を広げ、自身のYouTubeチャンネルは登録者数200万人を超える。

2月18日から公開中の劇場アニメーション『グッバイ、ドン・グリーズ!』では、親友のトト(CV梶裕貴)、ドロップ(CV村瀬歩)とともに、一夏の冒険に出る高校生・ロウマ役を演じている。

現在30歳、順風満帆なキャリアを歩む花江は、どうやって「声優になる」という夢を引き寄せたのか。プロとして仕事をするうえで大切にしていることを聞いた。

正解だと思うことを楽しくやってきただけ


僕が声優になろうと思ったのは、高校2年生のとき。今回演じたロウマたちと、同じくらいの時期でした。

ロウマの好きなところは、好奇心で動いたり、いろいろと手探りだったりするところ。この年代の男子に特有の、荒けずりでしっかりしていない部分を持っている。でも、その「磨けば光る」ところが、これからどうなっていくのかなって応援したくなる気持ちになるんです。

僕自身の学生時代を振り返ってみると、高1ぐらいまでは楽しかったんですけど、高2ぐらいからは勉強があまり好きじゃなくなっちゃって。学校に行くのも面倒になって、できる限り行かずに卒業したいななんて思っていたんです。楽しそうに過ごしている周りのみんなを見ながら、「この同級生たちよりも早く社会にでて稼げるようになろう」と考えていました。

当時からアニメが好きで、人気作品のセリフや歌をよく真似していました。それを誰かに褒められたりすると嬉しくて、演技や歌などいろいろなことができる声優の仕事がしたいと思うようになったんです。当時は時間もいっぱいあったし、若くて怖いものもなかった。

声優になると決めてからは、事務所に直接メールを送って、ワークショップやオーディションを受けたり、たまたま知り合いに声優をやっていた人がいて、その人に1人でできる練習方法を教えてもらったりと、わりとすぐに行動に移しました。高校3年生の1月には、正式に事務所に所属することになりました。
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構成=松崎美和子、島田早紀 写真=小田駿一

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