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2022.02.15

スペースX、「民間人による初の宇宙遊泳」を年内実施へ

ジャレッド・アイザックマン(Polaris Program / John Kraus)

昨年9月、史上初の民間人のみの地球周回飛行の船長を務めたジャレッド・アイザックマンが、再び宇宙に行く計画を発表した。フィンテック企業「シフト・フォー・ペイメンツ」の創業者でCEOのアイザックマンは2月14日、スペースXの「スペースシップ」を用いた初の有人宇宙飛行プログラム「ポラリス」プログラムに参加するとアナウンスした。

ポラリスプログラムは最大3回の実施が予定されており、アイザックマンを含む4人のクルーは、早ければ2022年第4四半期に予定される最初のミッションの「ポラリス・ドーン」に参加する。

アイザックマンは、14日の声明の中で「ポラリスプログラムは、今後の有人宇宙探査を推進するための重要なステップになる」と述べている。このプログラムでは、宇宙テクノロジーや宇宙飛行士の健康に関わるさまざまな研究プロジェクトが行われる。

最初のフライトであるポラリス・ドーンには、3つの主要な目的がある。このフライトでは、民間人の宇宙飛行士としては初の宇宙遊泳が実施される。スペースXは、船外活動用の宇宙服を開発しており、それを今回のミッションで初めて使用する。誰が最初の宇宙遊泳を行うのかはまだ未定だが、アイザックマンは4人のクルー全員が訓練を受けた後に決定すると述べた。

次に、ポラリス・ドーンのクルーは、スペースXの通信システム「スターリンク」の宇宙での通信テストを実施する。現時点で軌道上の1800個以上の衛星で構築されたスターリンクは、地表にインターネット接続を提供しており、将来的には、軌道上だけでなく、月や火星への有人ミッションにおいても、宇宙ベースの通信ができるように設計されている。

3つ目の目的は、宇宙飛行が人間の健康に与える影響を調べることだ。今回の宇宙船はアポロ計画以降のどの有人ミッションよりも高い高度を飛行し、1966年のジェミニ11号が達成した1375kmの高度よりも高い可能性がある。これにより、宇宙飛行士はバンアレン放射線帯を通過することになり、放射線による健康への影響をより深く理解することが可能になる。

また、このミッションでは減圧が人体に与える影響や、宇宙船が視力に与える影響なども調査される予定だ。

編集=上田裕資

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