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テクノロジー

2022.02.16 07:00

年内に10億ドル市場へ成長、「メタバース不動産」の行方

Creativa Images / Shutterstock.com

デジタル不動産ははたして「不動産」なのだろうか。デジタル店舗はいまだに「店舗」と呼びうるものなのか。これらは人間の世界とアバターの世界のグレーゾーンにかかわる問いである。もしかするとデジタル不動産やデジタル店舗といったものは一時的にもてはやされているだけで、Google+(グーグルプラス)やVine(ヴァイン)のように、いずれテクノロジーのブラックホールに消えゆくものなのかもしれない。だが逆に、これらがインターネットの次のあり方で、長期にわたる商業的成功に不可欠な形態になるのだとしたら?

メタバースという言葉は1990年代にSF作家のニール・スティーヴンスンがつくり出したものだが、2021年秋にマーク・ザッカーバーグが行った「メタバースでのソーシャライジング」についての発表をきっかけに、広く知られるようになった。以降、ナイキはアバター用のバーチャルスニーカーを制作し、ギャップはNFT(非代替性トークン)コレクションを発表。フォーエバー21は仮想店舗を開設した。さらにウォルマートをはじめとする小売り各社もメタバースへの進出を計画している。

ただ、これまで、不動産業界がメタバースにどうかかわることができるかは、あまり話題にされてこなかった。CNBCは最近、メタメトリック・ソリューションズの調べとして、メタバース内の「不動産」の販売額は2021年に5億ドル(約580億円)を超え、2022年は10億ドルに達する可能性があると報じている。こうした不動産は「無形資産」でありながら価値が高騰しており、かかわっていない業者には大きな機会費用が発生していると考えることもできる。

バーチャル小売店という発想は新しいものではない。ストアフロントは2018年、バーチャルストア・プラットフォームの「オブセス(Obsess)」と組んで、完全に双方向のものとしては史上初というバーチャル・ポップアップストアをつくっている。以来、こうしたコンセプトはメタバースでも有効であることが明らかになってきている。つまるところ買い物は、アバターにとっても日々の営みのひとつになりうるものだからだ。

メタバースでの小売店の形態としても、まずはポップアップ型に関心がもたれているようだ。消費者がブランドのデジタルコレクションをざっと見ることのできる簡易型店舗だ。セルフリッジズは先月、パコ・ラバンヌとのコラボレーションとして、NFTとして購入もできるアート作品の展示と組み合わせた実店舗のポップアップストアを開設すると発表した。グッチやラルフローレンはすでに、「Roblox(ロブロックス)」や「ZEPETO(ゼペット)」といったメタバースプラットフォームでポップアップストアを出店している。先週にはアロヨガもロブロックスの島に、ヨガや瞑想のための没入型ウェルネススペース「アロ・サンクチュアリ」をオープン。アロのデジタルファッションの店舗も併設している。
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編集=江戸伸禎

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