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2022.02.16

地域住民との「対話の場」に。東原会長が「日立オリジンパーク」にかける思い

日立製作所執行役 会長 兼 CEOの東原敏昭

「日立市は人生で一番長く住んだ街。社会人になってから29年間、働きました。若い頃に何周も回ったゴルフ場もあるし、夜に同僚たちとワイワイガヤガヤしたのもあの街。私の会社人生を作ってくれたのが日立なんです」

日立製作所の創業地・茨城県日立市への思いを語るのは、同社執行役 会長 兼 CEOの東原敏昭。2021年11月、この地に企業ミュージアム「日立オリジンパーク」を開業した。



シンボルは「創業小屋」


日立オリジンパークは、1910年に創業した日立製作所の“創業の精神”や歴史を紹介する施設だ。創業小屋、小平記念館(展示ホール・アネックス)、大みかクラブ(ゴルフ場併設のクラブハウス)、大みかゴルフクラブの4つの施設で構成されており、一般客にも開放している。

その中でもシンボルになっているのが、創業小屋。創業製品の「5馬力誘導電動機」が誕生した、日立鉱山工作課修理工場を再復元した建物だ。


日立の原点であり、創業の精神を未来に伝えるシンボルでもある創業小屋

この電動機を製作した工作課を率いていたのが、創業社長・小平浪平。彼の信念はいまも、創業の精神「和・誠・開拓者精神」として受け継がれている。その意味は、以下の通りである。

和=他人の意見を尊重しつつ、偏らないオープンな議論をし、一旦決断に至れば、共通の目標に向かって全員一致協力すること
誠=他者に責任を転嫁せず、常に当事者意識を持って誠実にことに当たること。社会から信頼をかち得るための基本姿勢
開拓者精神=未知の領域に、独創的に取り組もうとすること。常に専門分野で先駆者でありたいと願い、能力を超えるような高いレベルの目標に挑戦する意欲のこと

これは、企業理念「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」にも反映されている。東原は、「この創業の精神と企業理念は、時代が変わっても変えてはいけない、我々のアイデンティティです。当社の従業員はもちろん、多くの方にぜひ知っていただきたい」と力を込める。
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文=堤美佳子 取材・編集=田中友梨 写真提供=日立製作所

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