詐欺犯がSNSなどを通して知り合った異性に恋愛感情を抱かせ、資金をだまし取るロマンス詐欺による被害額は近年急増しており、過去5年間に報告された被害額の合計は13億ドル(約1500億円)に達したという。
昨年報告された詐欺による被害額の約25%は暗号通貨で支払われたもので、損失の中央値は約9770ドルだった。また、詐欺師たちが暗号通貨による架空の儲け話に被害者を勧誘する事例も増えている。
ロマンス詐欺の被害者はすべての年齢層で増加しているが、18歳から29歳までの年齢層での増加が最も大きく、損失額の中央値は750ドルだった。しかし、損失額が最も大きかった70歳以上のグループの中央値は9000ドルに達していた。
FTCによると、暗号通貨で支払いを要求する詐欺の件数は2020年から2021年にかけて約5倍に増加したという。しかし、昨年最も利用された支払い方法はギフトカードやプリペイドカードで、全体の約28%を占めていた。
ロマンス詐欺の被害者の多くは、SNSや出会い系アプリで最初に連絡を受けており、昨年の被害者の3分の1以上がフェイスブックやインスタグラムで最初の接触を持っていた。
このような被害の増加の背景には、パンデミックによる社会的孤立の増加や、他者との接触を持つ上でのテクノロジーへの依存度の高まりなどが挙げられている。
ロマンス詐欺犯たちの特徴としては、ウェブ上で入手した写真を使って偽のプロフィールを作成し、「海外で軍隊に所属しているため、リアルで会うことは難しい」といった、対面での接触を断る言い訳を用意していることが指摘されている。
詐欺師たちは被害者に自分を信頼させ、「病気の子供の治療費」や、危機に瀕している親族を救済するための「手続き費用」などの名目で、金銭を要求する。
米連邦捜査局(FBI)は、オンラインで恋愛関係を始めようとする人は、詐欺被害に遭わないために、「先を急がずに、相手にたくさんの質問をすること」や「相手の写真が他のサイトで使われていないかどうかを調べること」「実際に会う前に現金や暗号通貨、ギフトカードを送ることを避けること」が必要だと述べている。