JOVTVはいきなり登場した新サービスという印象だが、それもそのはず。立ち上げは2021年の11月。そして、わずか2カ月余で登録企業件数は350社を突破(22年2月時点)した。サービス立ち上げ当初は就職活動が本格化する22年3月末までに300社程の登録を見込んでいたが、予想を上回るペースで参加企業が増え、同時期までに500社を超える見込みだという。JOBTVの急成長について、同サービスをリードするベクトルの中根えりかに聞いた。
動画プラットフォームの新業態
JOBTVは、Netflixのようだ。参加企業の「企業説明動画」があたかも番組一覧のように並ぶ。各企業はそれぞれの枠で、学生に向けたダイレクトなメッセージに趣向を凝らす。
サービスのTOPの画像(左)と、学生がアップロードした自己PR動画の画面(サンプル・右)。複雑な遷移がなくシンプルな作りのサイトになっている。
サービス画面に複雑な遷移はなく、TOPページがそのままメインページとなり、ログインやその他のほとんどの工程が1ページ内で完結する。企業の情報発信からマッチングまでをシンプルに行える構成にし、学生側は、ワンクリックでエントリーでき直感的に操作できるようにした。
中根によれば「企業側は従来の会場やYouTubeなどの会社説明会では、時間の多くを自社の説明や採用説明に費やされることが多く、質疑応答のような学生と向き合うステップに力を入れづらい状況にあった」という。JOBTVでは動画はアーカイブされ、いつでも視聴可能なため、人事としては企業説明と学生対応を切り分けて対応できる。多様な発信を「ここ」に集約することができ、事前に学生に観てもらったり、採用のイベント時にも活用できることで、効率化に大きく寄与した。
また、シンプルなUIはもう一つ効果をもたらした。
「『検索』です。これは便利な反面、企業、学生双方にとって情報が埋没する恐れがあります。例えば、ある企業の業種を〈文房具〉として探しても、その企業は文房具はもちろん、それを生かした〈空間づくり〉の業態を目指していて、そうなると、むしろ不動産に近い。番組のように並ぶ企業の枠にはワンフレーズのPRテキストがあり、業種ではなく企業そのものを入口とすることで、こういったミスマッチを防ぐことにも一役買っています」
JOBTVでは上場、サービス業といった分け方もあるが、細かくセグメントはしていない。あえて「20代から責任ある仕事を」「新規事業に力を入れている」などの企業と学生双方に伝わりやすい見せ方をしている。