ヒューストン大学のケートリン・ポーター教授は「対人関係を構築する機会を人々に与えることで人材保持が促されるかもしれない」と述べた。ポーターと同僚らが執筆した調査では、同僚にネットワーキング(人脈作り)をさせることで離職率が約140%減った。
組織による多様性、インクルージョン(包摂性)、事業目標達成を支援する英企業ザ・インクルーシブ・カルチャー(The Inclusive Culture)の創業者であるアイーシャ・スレーマンは「人が辞める理由やグレート・リジグネーションの背景には、仕事で所属意識が感じられないことがある」と述べた。
従業員リソースグループとは?
その中で、雇用主は従業員リソースグループ(ERG)に目を向けている。従業員リソースグループはアフィニティーグループとも呼ばれ、共通の関心やライフスタイル、経験を基にしたつながりを提供するものだ。
従業員リソースグループは多様性を大事にし、会社の損益を超えたつながりを提供する。しかしスレーマンは、従業員リソースグループのつながりにより人材保持が促され、業績にも直接的な効果があると述べている。
「上司と議論できないことがあっても、アフィニティーグループを持てば新たなアイデアを提示できる場所が持てる」とスレーマン。多様性やインクルージョン、所属の場所を与えることは正しいだけではなく、ビジネスにも良いことだ、とスレーマンは述べている。
つながりの欠如に対し、意図的な行動を取る
明確なつながりがなければ、実際に人は離れていく。全員集まったときほど大きな知恵が生まれることはないため、仕事の未来を構築するにはあらゆる意見を取り入れる必要がある。
従業員リソースグループは、キャリアを前進させるリーダーシップの機会も与えてくれる。スレーマンは「私はアマゾンの一般社員だったが、従業員リソースグループの中でリーダーシップの役割を担った」と述べ、「他者を監督し、草の根活動を始めることができた。普段の仕事ではできなかったことだ」と語った。
あなたの会社で人材を保持するには、どのような従業員リソースグループが役立つだろう? 在宅勤務が一般的になった世界では、社内の井戸端会議は幻のように感じられるかもしれない。
グレート・リジグネーションの間も成功する企業は、特に分断された現在の世界では特につながりが重要な意味を持つことを認識する企業だ。共通の絆を築く意図的な方法を提供することが、傑出した結果を出す最初のステップとなる。