働きたい人がいない? 「グレート・リジグネーション」の裏側

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米従業員調査企業タイニーパルス(TINYpulse)が新たに発表した調査によると、経営幹部の約5人に1人が「働く意欲を持つ人がいない」という記述に同意していた。

こうしたリーダーは、人材採用が現在難しい理由を問われると「求人広告への反応がないこと」や「候補者の質が低いこと」を挙げた。雇用主が苦戦し不満を抱える一方、キャリアを過剰に優先するハッスルカルチャーは大きく伸びている。

フリーランスサービスサイト「ファイバー(Fiverr)」は昨年、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年と比べてアクティブバイヤー(稼働中の購入者)が30%増えたと報告した。多くの人がギグエコノミーに流出したことで、同社の全体的な売り上げは42%増えている。

もしかしたら、人々は本当に働きたくないのかもしれない。しかしこうしたデータは、人々はその場所で働きたくないだけだということを示しているかもしれない。

従業員エンゲージメントが低い理由は新型コロナ?


個人の自由が拡大する一方、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の義務化を支持する声が大きくなっている。先述のタイニーパルスの調査では、人事部門リーダーの過半数(55%)がワクチンをより積極的に奨励しているとし、この数は前四半期から7%伸びていた。

ワクチン接種の義務化を支援する人事責任者は、前四半期のわずか56%から68%へと増加。ワクチン接種の義務化を支援する声は人事部門以外の回答者の間ではさらに大きく74%だった。

しかし、会社を辞める人が大量に出ている「グレート・リジグネーション(大辞職)」のトレンドの基盤にあるのはワクチンではない。

人材保持と企業文化の面では別の対応策が必要だ。従業員の経済的選択肢が以前よりも増え、従業員が少なくなる中でも高い成績を収める文化を維持するためには、リーダーに何ができるだろうか?

新型コロナウイルス感染症の流行により仕事の世界は変わったが、従業員にとっては変わっていないものもある。

対人関係を構築する必要性は今までにないほど伸びている。従業員の意見を聞き、耳を傾け、理解するような意義のある関係性が人材保持の基盤だ。こうした人間関係は、会社の業績とは必ずしも関係がない共通の関心事項に基づいて生じることが多い。

人が会社を辞める本当の理由


人は会社が嫌で辞めるのではなく、人が嫌で辞めるのだということは広く知られている。人材を保持する文化を作りたければ、同僚同士の関係構築によってどのようにつながりや協力、エンゲージメントを改善できるかを考えよう。
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翻訳・編集=出田静

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