「米国出身・中国代表」で金の谷愛凌、ブランドからのオファー殺到か

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米国出身のスキー選手、谷愛凌(アイリーン・グー、18)が中国代表として競技に参加することを決めたのは、中国生まれの母親への敬意からだったという。ただ、それは経済的にもすぐれた選択だったようだ。

谷は開催中の北京冬季五輪のフリースタイルスキー女子ビックエアで金メダルを獲得したことで、今後、米中両国でエンドースメント契約などのスポンサーシップをこれまで以上に期待できるとみられている。

IMG所属のモデルとしても活動する谷は普段は米西海岸のサンフランシスコで生活し、夏の間だけ中国に滞在してきた。米国ではなく中国のチームの一員として競技することは批判の的にもなってきたが、マーケティングの専門家らは中国での人気は米国での反発を補って余りあるものになるとの見方を示す。

ユナイテッド・タレント・エージェンシー(UTA)傘下のメディアリンクでマーケティング責任者を務めるシャイアン・キャンターは谷について、「米国にも中にも熱い気持ちをもっているため、米中どちらの国のブランドもサポートできるという面白い立ち位置にある」と解説する。中国ではスキーは欧米ほど人気のあるスポーツではないが、谷はスキーの認知度を高め、支持する製品の購入者となるような忠実なファン層も広げていく可能性があるとみる。

谷は太平洋を挟んだ両国ですでに数多くの高級ブランドと付き合いがある。米国側では昨年、ティファニーからグローバルブランドアンバサダーの一人に起用された。欧米ブランドではこのほか、IWCシャフハウゼン、ヴィクトリアズ・シークレット、ルイ・ヴィトン、フェンディ、グッチなどとも仕事をしている。

中国ではラッキンコーヒー、中国銀行、キャデラック中国、中国移動通信などとエンドースメント契約を結んでいる。キャンペーン・アジア誌によると、谷と提携しているブランドは数十にのぼるという。スポンサーの一社であるレッドブルは今月、北京で谷についての新たな動画を公開している。

ちなみに母親の谷燕(ヤン・グー)はリンクトインのプロフィールで、サンフランシスコのフュージョン・インベストメントに勤務する「中国投資の専門家」と自己紹介している。

谷愛凌はフォーブス寄稿者との昨年のインタビューで、「スポーツ分野で若い女の子たちが境界を打ち壊していってほしい」というのが最も伝えたいメッセージだと語っている。インフルエンサー事務所ワラーでグローバル最高マーケティング責任者(CMO)を務めるジェイミー・グトフロインドは、こうしたメッセージは国境を越えるものだと言う。

五輪関連のインフルエンサーマーケティングに携わったダン・タナは、広告塔を世界中で多様化したいと考えているブランドにとって、谷は欲しい資質をすべて備えている存在だとし、今後、ブランドから引く手あまたになるだろうと話している。

編集=江戸伸禎

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