ビジネス

2022.02.11

トップ企業5社のCEOが語った経営哲学

レント・ザ・ランウェイCEO ジェニファー・ハイマン(JP Yim/Getty Images for Girlboss Rally NYC 2018)

2021年を通じてビジネスリーダーたちを取材したフォーブスは、トップ企業の最高経営責任者(CEO)から話を聞く貴重な機会を得られた。以下に、そうしたCEOから得られた教訓を紹介する。

危機を無駄にしない


2020年3月、新型コロナウイルスにより世界が停止すると、米国人は着飾って外出する機会がなくなった。ファッションレンタル大手レント・ザ・ランウェイでは、会員が次々とサービスを解約し、その数は5月までにわずか30%まで減少。ひどい状況だったが、共同創業者のジェニファー・ハイマンCEOはこの予期せぬ休止期間を使い、事業がフル稼働している状況では不可能だった改善を行った。

ハイマンは昨年6月、フォーブスに対し、「2020年を無駄にするつもりはなかった。新型コロナウイルスの流行はひどいものだったが、創造の時でもあった」と語った。

ハイマンは価格モデルを改定し、ニュージャージー州とテキサス州の既存の配送施設を刷新して自動化をさらに進めた。服の仕分けや洗浄、出荷を効率化するため、人工知能(AI)やRFIDタグ、ロボットにも投資を行った。こうした改善により、レント・ザ・ランウェイは高価な3つ目の配送施設をつくることなく、会社の今後の成長の土台を作ることができた。

こうした戦略が功を奏し、ワクチン接種が進んで人々の日常が徐々に再開し始めた昨年春、同社の事業は急速に復活。10月にはナスダックに上場した。


スポティファイCEO ダニエル・エク(Antoine Antoniol/Getty Images)

徹底的に特化する


音楽ストリーミング最大手スポティファイのダニエル・エクCEOは、同社の事業をつくる上で、リスナーに対して海賊版より勝る音楽体験を提供する技術を開発する必要があった。さらに、ミュージシャンとレコード会社の両方に対し、音楽の未来は所有ではなくウェブ上の音楽ストリーミングにあると説得する必要があった。

そして、彼はそれに成功した。それにより自社の事業を大成功させたのみならず、窮地に陥っていた音楽業界を立て直した。さらに、アップル、アルファベット、アマゾンという巨大企業3社が競合サービスを開始してからも、音楽分野でトップの位置を維持することができた。その理由は、デジタルオーディオにひたすら特化していることにある。

エクは昨年10月、フォーブスに対し「私たちは、多くのものに『ノー』と言うことが得意だ」と語った。「何をするにせよ、企業理念を確認し、『これはその実現に役立つか?』と考える。答えがイエスであれば、検討する。何をする必要があるかについて、独自の視点を持っている」

エクは、スポティファイが音楽とサウンドのみに集中しているため、業界トップクラスの人材を採用することができたと指摘。「オーディオ分野の最も優秀な人材はスポティファイに来る。その分野で一番の会社だからだ。アップルでは、音楽は27番目の優先分野だ」と語った。「自動運転車をつくりたい人は、うちには来ないように」
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編集=遠藤宗生

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