Vimeo CEO アンジャリ・スッド(Steve Zak Photography/FilmMagic)
ユーザートレンドが武器に
アンジャリ・スッドがデジタル動画サービスのビメオ(Vimeo)にマーケティング部長として加わったとき、同社はネットフリックスやアマゾン・プライム、HBOと肩を並べる定額サービスを構築しようとしていた。しかしスッドは、中小企業の事業主が同社のサービスを使い、ウェブサイトや電子メールの広告に動画をアップロードしていたことに気づいた。
スッドは昨年4月、フォーブスに対し「家族経営の店からテック系スタートアップ、大企業のマーケティング部署まで、さまざまだった」と語った。「非常に多様だったので、一つのトレンドに違いなかった」
彼女は直感的に、ビメオの未来はハリウッドのヒット作品ではなく、シリコンバレーを支えることにあると考え、焦点をエンターテインメントから起業家に向ける計画を立てた。「企業という、もっと大きな市場があった」とスッド。
当時、ビメオを所有していたIACは、スッドに企業向けサービスを構築する小さなチームを与えた。これが成功を収め、スッドは2017年、ビメオのCEOに就任。ビメオを、ほこりかぶったウェブの遺物から、IAC傘下のテック企業の花形へと変えた。
ビメオは昨年5月にIACからスピンアウトし、スッドは上場テック企業の数少ない女性CEOの一人になった。スッドは自身について、「女性、母親、テック企業のCEOとして、ソフトウエア界で特異な存在」と説明。「自分の視点やスタイルをこの業界に持ち込めることを楽しみにしている」と語った。
エアビーアンドビー 共同創業者 ネイサン・ブレチャージク(Mike Windle/Getty Images for Airbnb)
データを深く分析
民泊仲介サイト大手エアビーアンドビーの創業者3人はアプリを立ち上げた当初、利用者数と物件数のどちらを増やすことに焦点を当てるか確信が持てないでいた。
そこで創業者の一人でコンピューターサイエンス専門家であるネイサン・ブレチャージクは、その頃の人気市場だったニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスのデータを分析し、パターンや相関関係を探した。
その結果、2つの重要な見識が得られた。1つ目は、物件数が増えることで需要も増えたこと。2つ目は、1都市の物件数が300件を超えると、その市場が自然に成長し始めることだ。
ブレチャージクは昨年12月、フォーブスに対し「データを慎重に精査することで、問題に焦点を戻すことができた。それまで全米での成長を目指していた方針を変え、重要な観光都市のみで物件数を300件にすることにし、目標を簡略化した」と述べた。
同社はこの手法により、全米、そして世界中の民泊市場でトップに立つことができた。現在の時価総額は1000億ドル(約11兆円)を超えている。