Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2022.02.15

日立製作所「社会参加のすゝめ」により、人生100年時代の新たな物語が幕を開ける

社会イノベーション事業をデジタルで推進していく。日立製作所が今春から立ち上げる新事業「社会参加のすゝめ」には、高齢者の健康寿命を延ばすことが期待されている。超高齢化社会に突入した日本の課題解決へ向けた取り組みを紹介する。


昨秋に厚生労働省が発表した「介護給付費等実態統計」によると、2020年度の介護費用の総額は10兆7783億円で過去最多を記録している。01年度の4兆3782億円から2倍以上にまで膨れ上がった。介護サービスの利用者も前年度から5万5700人増えて532万8000人となり、過去最多を更新している。

状況は、まさに深刻だ。国家予算の10分の1相当の額を介護費に使っている。1年間で新たに介護サービスを受ける人の数は、ひとつの地方自治体の人口にも匹敵する。この国で暮らす人は、社会の負荷として人生の終盤を生きる運命にあるのか。老いとは、悲惨な終焉にすぎないのか。

社会参加が健康寿命を延伸する


社会の超高齢化そのものは止められない。だが、高齢者を社会の負荷ではなく貴重な活力とし、老いを悲惨な終焉ではなく輝かしい集大成へと変えていくことはできる。それを可能にするのが、日立製作所によってローンチされる「社会参加のすゝめ」という名称のアプリだ。超高齢化に伴うさまざまな悲観シナリオを覆すためのプラットフォームとして、高齢者を支え、シニア市場の企業と顧客を結び付ける。

「日立製作所では、人々のQoL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に貢献するヘルスケア関連事業を次世代の成長の柱に位置づけています。『社会参加のすゝめ』は21世紀のわが国を支える重要な社会インフラのひとつとなるべくスタートしたプロジェクトであり、日本老年学的評価研究(JAGES)機構とのオープンイノベーションで進めてきました」

そう語るのは、プロジェクトリーダーを務める鎌田裕司。日立製作所は社会課題を解決する会社として各分野で革新的なソリューション開発を積極的に進めているが、「超高齢化問題」に対する解のひとつとして創発したのが「社会参加のすゝめ」だ。


鎌田裕司 日立製作所 金融第二システム事業部 金融システム第四本部 技師

千葉大学予防医学センターで社会予防医学を研究する教授であり、JAGES機構の代表理事も務める近藤克則は「社会参加のすゝめ」に理論的支柱を与えている。

「JAGES機構では20年にわたる研究で60以上の市町村における延べ75万人の高齢者データを構築してきた。それを使って、“就労やスポーツ、趣味グループへの参加といった社会活動により、将来の要介護リスクが抑えられる”ことを明らかにしてきました。こうした研究成果はすなわち、『社会参加のすゝめ』によって高齢者の日々の社会参加を詳細に計測・記録できれば、個人や地域における要介護リスクに対し、有効な対策の立案が可能になることも意味します」


近藤克則 千葉大学 予防医学センター 教授


JAGES機構が手がけてきたのは、質問紙への記入による追跡調査であった。「社会参加のすゝめ」は、この調査プロセスのDXにより、低頻度・低密度で主観的な回答に基づくしか手段がなかった検証を高頻度・高密度で客観的なものへと変える。

日立製作所のヘルスケアイノベーションセンタで主管研究員の任に就く伴秀行は、「社会参加のすゝめ」の革新性について次のように話す。

「スマホにアプリをダウンロードするだけで、社会参加の傾向や度合いを示す行動記録(GPS座標や歩数など)の細やかな収集・分析が可能です。その分析に基づき、パーソナライズされた外出状況レポートや健康アドバイスを個人のスマホに提供できます。要介護リスクを抑える社会参加の重要性を理解してもらい、個々人の健康への新たな気付きと意欲向上につながる効果的な仕組みを形成できるのです」

日立製作所は「社会参加のすゝめ」のローンチに先立ち、JAGES機構とともに実証実験を実施している。そこでの結果が示すものについて、近藤が教えてくれた。

「65歳以上を中心とした約90人で約4カ月にわたって行った実証実験では、スマホに送られるコラムやレポートを読むことで社会参加の意欲が向上し、実際の行動にもつながっていることがわかりました。お出かけの推奨やその状況評価などで積極的に社会参加を働きかけることが高齢者の行動変容につながり、健康寿命の延伸につながると期待できます」

高齢者にとって社会とのつながりの欠如は、病気と死亡率の予測因子とされている。孤独は、がんなどの病気を引き起こす炎症性反応を誘発するという。ノーベル生理学・医学賞の選考機関でもあるストックホルムのカロリンスカ研究所は、強力な社会的ネットワークをもつ人は認知症になる可能性が60%低いと発表している。

「健康の社会的決定要因という言葉があります。孤独は、一日15本のタバコを吸うことに相当するほど死亡率を高めます。英国には孤独を減らすために孤独担当大臣というポストがあるくらいです。超高齢化問題の本質は、高齢化の社会的孤立をいかに解消していくかにあるとも言えます。社会参加は、健康寿命延伸の鍵となるのです」


伴 秀行 日立製作所 ヘルスケアイノベーションセンタ 主管研究員

活力と生きがいにあふれた未来へ


本稿では「社会参加のすゝめ」がオープンイノベーションで開発されたと前述しているが、今春からの実践段階においてもイノベーションを加速するのは協創や連携であると鎌田は断言する。

「これからは『社会参加のすゝめ』というプラットフォームを通じて、多様なサービスを協力企業や自治体とともに社会実装し、より多くのシニアが社会参加へと向かう未来を目指していきます。

例えば、自治体や不動産ディベロッパーに対しては社会参加しやすく、一生元気でいられる街づくりのためのノウハウの検討・蓄積に貢献します。小売業においては社会参加の中心となる『通いと憩いの場』としての自社店舗の活用・活性化に役立つでしょう。ヘルスケア関連事業者に対しては『スマホを持ち歩くだけ』という抵抗感の低い方法で利用者の施設外での社会参加の活発さを測定し、健康の向上や新たなサービスの開発に寄与します。社会参加状態の計測結果をアプリ使用者本人の利益としてじかに還元できるようなサービスとしては、社会参加が活発で介護リスクが低いと認められる場合に保険料が下がる新型介護保険などが考えられます」

人数と財力においてほかの世代を圧倒しながら急拡大する高齢者市場に照準を定める企業にとって、「社会参加のすゝめ」によってデータドリブンな経営に移行できるメリットは大きい。前述した実証実験では、利用者から「楽しめた」「満足だった」という声が多く寄せられ、4月下旬のローンチに向けて明るい材料となっている。当然ながら、ローンチ後も日立製作所とJAGES機構の協創は続く。利用者のデータを学術的な知見としながら、社会参加測定・促進効果の検証と改善を続けて、確かなエビデンスに基づいた介護予防施策を展開していく。

高齢者の社会参加促進を軸とした「介護予防と健康寿命延伸のエコシステム」を構築し、多くのシニアが社会参加してQoLが高いままに元気な老後を過ごすことで「経済活性化の福音」にもなる。この2軸が「社会参加のすゝめ」の意義だ。人生100年時代の新たな物語が、ここから始まる。



日立製作所
https://www.hitachi.co.jp


かまた・ゆうじ◎日立製作所 金融第二システム事業部 金融システム第四本部 技師。日立製作所が幅広い事業領域で培ってきた経験と技術基盤を強みとしながら、革新的な新規事業の立案・開発に従事している。

こんどう・かつのり◎千葉大学 予防医学センター 教授。同センター社会予防医学研究部門で研究し、大学院、医学研究院、環境健康科学講座、公衆衛生学講座で教える。日本老年学的評価研究(JAGES)機構の代表理事も務める。

ばん・ひでゆき◎日立製作所研究開発グループ・ヘルスケアイノベーションセンタ 主管研究員。日立グループのヘルスケア事業に貢献し、社会課題解決に資するソリューションを創発する研究所で予防医学分野の研究を立ち上げ、主導してきた。

Promoted by 日立製作所 | text by Kiyoto Kuniryo | photographs by Masahiro Miki | edit by Akio Takashiro

ForbesBrandVoice