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2022.02.10 07:00

米アマゾン基本給上限の引き上げで見え始めた「より重大な」問題

Getty Images

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米アマゾン・ドット・コムは先ごろ、従業員の基本給の上限をこれまでの年間16万ドル(約1850万円)から、35万ドルに引き上げると発表した。変更の主な理由として挙げているのは、労働市場の競争が激しいことだ。

テクノロジー業界では退職者が相次ぐ状態が広がっており、厳しい状況のなかでアマゾンが今後も優秀な人材を獲得していくためには、理にかなった変更だといえる。

新型コロナウイルスのパンデミックの発生以降、サプライチェーンの問題が深刻化し、ワーク・ライフ・バランスを良好に保つことが難しくなったとして、アマゾンで従業員の退職が相次いでいることは、これまでにも繰り返し報じられている。

優秀な人材への需要が高い今、アマゾンで働いた経験を持つ人にとって、転職はより魅力的なものとなっているだろう。だが、この基本給の引き上げは、単にそれだけの話ではない。アマゾンの株価に関連する話でもある。

1年前、2021年2月 8日のアマゾンの株価(終値)は、3322.94ドルだった。だが、2022年7日の終値は、3158.71ドルだ。すでに知られているとおり、アマゾンの優秀な人材は、報酬の大半を自社株で受け取っている。

株価が上がらず、仕事では問題が増え、そしてスキルのある労働者の需要が高いとなれば、アマゾンが従業員に支払う基本給を増やさなければならないのは、当然のことだろう。

株価が横ばいの状態が続けば、従業員の多くが自社に対するコミットメントについて考え直そうとすることは、容易に予想ができた。

昇給が持つより大きな意味合い


そして、株価の値上がりによって従業員により多くの報酬を与えてきたのは、アマゾンだけではない。これは、この業界では以前から取り入れられてきた報酬の形態だ。

多くの企業は獲得したい人材に入社を促し、雇用主の成功と自身には利害関係があると認識してもらうためのインセンティブとして、従業員に自社株を提供してきた。

これが効果的な方法であることは、証明されている。テクノロジー業界で働く人たちが仕事で資産を増やす力は、これによって飛躍的に高まってきた。
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編集=木内涼子

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