ビジネス

2022.02.10

米アマゾン基本給上限の引き上げで見え始めた「より重大な」問題

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多くの企業がこうした形で従業員に報酬を支払ってきたテクノロジー業界には、これまで向き合ってこなかった問題がある。その一つが、この形態は「公正なものかどうか」という問題だ。

例えば、存続リスクが高いスタートアップが、自社に出資しているわけではなく、給料を受け取っている側の従業員たちに、自社株の多くを与える──これは、その従業員たちにとってフェアなものだろうか?

そして、もうひとつ疑問に思えるのは、この業界が成熟段階に達し、株価の急上昇が止まったとき、そのときに何が起きるか、というだ。今回のアマゾンの決定が示すとおり、企業は今後、より多くの現金を必要とするようになるだろう。だが、すべての企業がそれに対応できるわけではない。つまり、従業員の報酬を、引き上げ続けるわけにはいかない。

中堅社員が年収数百万ドルを手にすることは適切で、株主たちにとっても公平なことだろうか?企業はいずれ成熟期を迎え、最終的に従業員の期待に応えられなくなる。それが避けられないにも関わらず、期待を高め続けるのは、賢明なことだろうか?

これらは、アマゾンの基本給の引き上げの発表が浮かび上がらせた疑問の一部だ。そして、この業界が対応の必要性に向き合い始めたばかりの重大な問題だ。

編集=木内涼子

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