眼福!スーパーハイジュエリーの世界

Forbes Jewelry


CARTIER


鉱山が枯渇した幻のブルーサファイア

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カシミールは、ヒマラヤ山脈に連なる山岳地帯。かつてこの高地で白い大理石に交じって採れたのが、最高級のサファイアだ。コーンフラワーブルー(矢車菊の花の青)と称される澄んだブルーは、目を見はるほどに鮮やか。内部に微細なインクルージョンを含んでいるため、ベルベットのような優しい光沢をもっているのが特徴だ。

カルティエには、このカシミール産ブルーサファイアをあしらった優雅なハイジュエリーがある。ダイヤモンドとともに2個のクッションシェイプカシミールサファイアをセットしたプラチナネックレス。トップ部分の3個の石を取り外し、シンプルなティアラにつけ替えることもできる。

言葉で言い尽くせないほどの青さで輝くカシミールサファイアだが、現在はほぼ枯渇し、産出がない。コレクターや宝石商であっても巡り会える機会はそう多くない。だから、このネックレスは大変に貴重なものなのだ。パリの名門カルティエなればこそ、粒よりのカシミールサファイアでネックレスを仕立てることができたのである。

ネックレス。PT、WG、ブルーサファイア(カシミール産、クッションシェイプ、計15.47カラット)、ダイヤモンド(クッションシェイプ、計10.18カラット)、ダイヤモンド。12億3420万円(参考価格)。カルティエ カスタマー サービスセンター 0120-301-757

VAN CLEEF & ARPELS


不可能を可能にする宝石に注ぐパッション

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360度回転させてご覧いただけないのが残念だ。このブレスレットを取り巻くのは、なめらかなグラデーションで並ぶ18個のサファイア。ピンクから徐々にモーヴへと移り変わっていく色の階調を眺めているだけで、熱いため息が出てくる。

今回ヴァン クリーフ&アーペルがテーマとしたのは、シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』。ジュリエットのキャピュレット家の紋章は赤で、ロミオのモンタギュー家は青。愛し合うふたりによって、両家の色がひとつに融け合う様子をシンボリックに表現したデザインとなっている。ブレスレットの名前「イナモラート」とは、恋に落ちるという意味のイタリア語だ。

色調が美しいグラデーションになった上質な宝石が一度にたくさん手に入ることなど、まずありえない。だからヴァン クリーフ&アーペルは、サファイアを忍耐強く揃えるだけで相当な年月を費やしているはず。つまりこのブレスレットが示しているのは、生半可なことでは揺らがないメゾンの信念なのだともいえる。

「ロミオ&ジュリエット」コレクションより「イナモラート」ブレスレット。RG、WG、ピンク〜モーヴサファイア(モザンビーク産、スリランカ産、マダガスカル産、オーバルカット、計70.23カラット)、サファイア、ダイヤモンド。2億2308万円(参考価格)。ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク 0120-10-1906
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illustration by Mathilde Aubier | text and edit by Keiko Homma

この記事は 「Forbes JAPAN No.090 2022年2月号(2021/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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