教育学者で自身もノーザンバージニア・コミュニティーカレッジで教鞭をとるジル・バイデン博士は長年、コミュニティーカレッジ無償化を支持しており、ジョー・バイデン大統領も実現に向けては妻がリード役の一人になると述べていた。
だが、それが盛り込まれるはずだったビルド・バック・ベター法案は、何カ月にも及ぶ交渉にもかかわらず成立に必要な上院での民主党議員全員の支持が得られておらず、暗礁に乗り上げている。なかでもジョー・マンチン、キルステン・シネマ両上院議員は、ホワイトハウスが示した妥協案への同意も拒んでいる。
こうしたなか、コミュニティーカレッジ無償化の実現は遠のいたとみられていた。ジルは7日、首都ワシントンで開かれたコミュニティーカレッジ評議員会(ACCT)の会合で、ビルド・バック・ベター法案についてこう話した。
「1年前、わたし皆さんに、ジョーはコミュニティーカレッジのために闘うでしょうと申し上げました。けれど、ジョーは妥協もせねばなりませんでした。議会はまだビルド・バック・ベター法案を可決していません。そして、コミュニティーカレッジの無償化はもうこの法案の一部ではありません」
ビルド・バック・ベター法案では当初、コミュニティーカレッジなどの2年間の授業料や諸経費をカバーする予算として455億ドル(約5兆2500億円)が手当てされていた。バイデン政権は2021年に成立させた「米国救済計画」では、コミュニティーカレッジや4年制大学に巨額の資金を振り向けた。一方で、民主党の革新派が求めている学生ローンの免除には応じていない。
ジルは席上、コミュニティーカレッジ無償化の条項を議会で通すのは簡単ではないとわかっていたものの、それができなかったのはやはり残念だと吐露し、「学生が享受すべき進歩」のために大統領とともに引き続き闘うと約束した。
米国の約20州では、資格のある学生を対象にコミュニティーカレッジなどの学費を免除する措置を用意しており、連邦政府のコミュニティーカレッジ無償化計画が頓挫してもこれらは継続される。