キャリア・教育

2022.02.15 08:00

転職して半年、がむしゃらな僕に「1週間休め」と言った上司の教え

Getty Images

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「数カ月、すごく忙しかったし、体も疲れただろうから、1週間くらい休んでゆっくりしてきたらどうだ?」

数年前に転職した会社で、入社6カ月後に上司にこんなことを言われたことがある。それまでそんなことを言われたことがなく、何か悪いことでもしたかな……と不安になったのを今でも覚えている。

確かに、入社後、必死だった僕はがむしゃらに働いていた。シンガポールで新しい会社を作るというミッションだったし、新しい環境に慣れたり、成果を出すことへのプレッシャーもあった。ただ、まだまだ休んでいる暇もないし、やる気にも満ち溢れていた時だった。

戸惑いながらも、せっかくなのでとプーケットへのチケットをとって飛び立った。とはいえ、まだそわそわしていた。あの仕事は大丈夫だろうか? あれもやり残している! 誰かに引き継げるわけでもないし、不安で一杯だった。なぜなら当時はたった4人の会社だったから。

ホテルに着いてすぐ携帯をチェックして、メールを返信すると、それを開いた上司から「すぐに携帯を置いて、ビーチにでも行ってこい!」と返信が来た。

そこでいよいよ観念して、遊びに行って、しばらく仕事のことは忘れた。もちろん時々気にはなるが、2日も経つとすっかり休日モードになり、リラックスできるようになってきた。



仕事人間の僕にとってこの経験は想像以上の効果をもたらした。具体的には次のようなことだ。

・脳も体もリフレッシュした
・仕事への意欲が増した(もともと高いのがさらに)
・新しい発想が生まれきた
・上司へのロイヤリティーが高まった
・自分がリーダーになった時、人の過剰な働き方を意識するようになった
・自分も同じことをメンバーに提案するようになった

そう、自分ではわからなくても、強烈な緊張状態で長く働いて疲れている時に、休むことがいかに効果的か、身をもって体感したのだ。そして帰国後、僕はさらに大きな売上をあげることができた。

単純に休むことの重要性を説きたいわけではないし、同じことを全員がすればいいかと言われれば、それも違う。しかし、黙っていてもがむしゃらに働き、ほっておけば休みもとらない、疲れている自覚もないけど動きが鈍っている僕のような人間には、“最高の薬”だったわけである。
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文=西野雄介 写真=Getty Images

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