カジュアルスタイルにちょうどいいデイリーウォッチ

ウォッチディレクターの篠田哲生。ロンジンの「コンクエストVHP」ブラックエディションを語る。


篠田哲生は、時計業界でもトップクラスの売れっ子ライター。肩書を“ウォッチディレクター”としているのは、最近は執筆に加え、イベントの企画・構成、出演も増えているから。幅広く時計の魅力を伝えている。

そんな彼は愛用の時計として、数あるコレクションのなかから、ロンジンの「コンクエストV.H.P.」ブラックエディションを選ぶ。

「普段の時計選びでは、服装に時計を合わせます。ドレスにもカジュアルにもラグジュアリー系の時計を着けるのが好きなので、どうしてもそういう時計が多くなります。あるいはハズし的にカジュアルな時計を着けることもありますが、このコンクエストV.H.P.はラグジュアリーとカジュアルの中間。まさに気どらないデイリーウォッチです。昨年手に入れたのですが、いままでもっていなかったタイプです。カジュアルとエレガンスがちょうどいいバランスを成す時計だと思います」

この日もブラックのレザーブルゾンに黒のハイゲージニット。時計はこのオールブラックのロンジンを合わせた。

「仕事柄、人に会うと時計を見られるので、時計選びは工夫します。きちんとした人物に見られたい日は、高級時計を着けて出かけることが多くなります。その一方でこの時計は日常使いで便利に使っています。使うほどに、この時計に出合えたことを本当によかったと感じるんですよ」

それは決してコンクエストV.H.P.を軽んじるのではなく、カジュアルでも正統派である時計の出自に安心感を得られるから。

「スイスのロンジンの本社や工房も取材しましたし、歴史も原稿に書いて知っています。ですからロンジンというブランドに対する信頼があるんです。メカニズム的にもV.H.P.は精度が高い。年差±5秒ってかなりすごいですよ」

だからこそ少し歯がゆい思いもある。「もっとロンジンの良さが知られて欲しいと思います。アンティークの世界だとロンジンの価値は高く評価されていますし、実際に名作もたくさんあります。技術面でもしっかりしたバックグラウンドを持ち、スイス時計産業の歴史をひもとくと、土台のところにしっかり存在しているのがロンジンです。そして、このモデルのように新しい技術であるクオーツにも力を入れている。そういうことも含めて、知れば知るほど味わいの深いブランドなのです」

日々、数多くの時計に触れている篠田さんが、実際に使用して太鼓判を押すデイリーウォッチ。価格もお手頃なので、時計選びに迷ってる方にはお薦めだ。

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左/ケース、ダイヤルはモダンデザインで、その仕上げは価格を超える価値があるほど上質だ。アプライドインデックスも高級感と視認性を併せもっており実用的。老舗ブランドならではの丁寧な仕事がうかがえる。右/ケースバックにはロンジンのエレガンスの象徴“翼の砂時計”が刻印されている。

「コンクエストV.H.P.」搭載のムーブメントは年差±5秒という、かなり高い精度を誇る。衝撃が加わったときや磁場に晒されたときには、時刻を自動的に補正できるGPD(ギアポジション探知)システムも搭載。長寿命のバッテリーとパーペチュアルカレンダー機能も備えており、時刻を知ることについて、これほど特化したものもない。究極のスポーティモデルというコンクエストの神髄をとらえたモデルだ。

LONGINES Conquest V.H.P.

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ムーブメント|
クオーツ Cal.L289
ケース素材|
ステンレススティール
ケース径|
42mm
価格|
25万7400円
問い合わせ|
ロンジン 03-6254-7350

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篠田哲生 ウォッチディレクター◎1975年、千葉県生まれ。講談社『Hot-Dog Press』を経てフリーの編集/ライターに。「クロノス日本版」(シムサムメディア)などの骨太な時計専門誌からファッション/ライフスタイル誌、モノ情報誌など、幅広い媒体で時計企画を中心に担当。

text by Ryoji Fukutome|illustration by Adam Cruft|edited by Tsuzumi Aoyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.089 2022年1月号(2021/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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