最大の商機はエッジコンピューティングで、データをより近くで処理する概念だ。エネルギー、輸送、医療、通信インフラがデジタル化するなか年間17%のペースで需要が伸びる見通しだ。
「ガートナーは、5年以内にデータの75%がエッジで管理されるようになると推定しています」(デル)
5Gインフラなどの通信機器・設備や、仮想化デスクトップなどもある。多くの企業はパンデミック後、出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッド型の働き方に合ったオフィスを構築しつつある。
デルは今年、160億ドルの負債を返済する計画で、デル社の投資適格級の格付けの取得を目指している。取得できれば、同社はコマーシャル・ペーパー(CP)市場に復帰、融資部門を拡大して、より多くの顧客に融資を提供してヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)などの競合からシェアを勝ち取ることができるようになる。マイケル・デル帝国の最優良資産であるVMwareも、分社化(11月1日に完了)後は独自の針路を定め、独自の買収を計画していくことになる。
ところでデル、引退は考えていないのだろうか。
「退屈して、きっと気が滅入ってしまうでしょうね」
デルは、ベゾスやゲイツやエリソンその他の同輩たちとは異なり、最初の計画を貫くつもりだ。
「先はまだまだ、長いですよ」
DELL Technologies◎マイケル・デルが1984年に創業したコンピュータ会社。当初は低コストでユーザーの必要に合わせたカスタマイズをしたパソコンを提供したことで人気を博した。低迷期もあったが、データストレージ企業EMCの買収により、新たな時代に向けた体制を整備。パンデミックによるITニーズの高まりも追い風となっている。
マイケル・デル◎デル・テクノロジーズの創業者で、会長兼CEO。1965年生まれ。米国テキサス州ヒューストンで育つ。最初のビジネスは13歳で始めた切手のオークション販売。テキサス大学在学中にパソコン販売を開始し、1984年デル社を創業した。1998年にはファミリーオフィスとして投資会社MSDキャピタルを設立。