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2022.02.25

テクノロジーで社会課題を解決する ヘルステック領域を切り開くふたりの原点

左:トリプル・ダブリュー・ジャパン代表 中西敦士 右:Sportip代表 髙久侑也

テレビ朝日の番組「挑戦者の原点~My Episode 0~」では、挑戦者たちの原点(= My Episode 0)が語られる。放送に合わせ、30 UNDER 30 JAPAN 2021受賞者でSportip代表の髙久侑也と、トリプル・ダブリュー・ジャパン代表の中西敦士が互いの原点を語り合った。


個人的な体験が起業の契機に


髙久侑也(以下、髙久):今日はお会いできてうれしいです。私自身、腸にかかわる疾患をもっていて、ストレスを感じることも多いのですが、テクノロジーで排せつの悩みを解決しようとされているのは、とても素晴らしいことですね。

中西敦士(以下、中西):ありがとうございます。アメリカ留学中、引っ越しの際に大便をもらしてしまうという個人的な体験があって、排せつのタイミングを予知できたらそんな失態をしなくて済んだんじゃないかと思ったんです。調べてみると、すでに子どもよりも大人のほうがオムツを使用する方が多くて、介護問題も深刻になってきている。アイデアをアメリカの方に話したところ、複数人の方が興味をもってくれて、フィリピンで見つけた起業の“種”これは解決すべき課題なのではないかと起業したんです。

髙久:私も個人的な体験が起業のきっかけです。高校までずっと野球だけに打ち込んでいたのですが、体にゆがみがあるのに周りと同じ練習を続けた結果、病気がひどくなって野球を続けられなくなったのです。特にアマチュアでは、コーチの専門知識が乏しく、個人に合わせたトレーニングを行うのが難しいことがよくあります。ましてやひとりのコーチに対して選手が数十人いれば、個別の指導は物理的に困難です。AIによって動作解析を行い、トレーナー・セラピストが個人の特性に応じた運動指導をできるよう、「Sportip Pro」を開発しました。

中西:髙久さんは大学卒業後すぐに起業されたんですね。

髙久:幼いころから祖父に「新しい仕組みをつくって稼げる人になれ」とたびたび言われていたのもあって、自然と起業家を目指していました。何事も効率を考えて、最短で目標達成するには......と考えるほうなので、どこかに就職するよりも自分で会社を起こしたほうが早いと思ったんです。学生時代、ヘルスケアAIベンチャーで2年ほどインターンをし、さまざまなビジネスにかかわった経験を生かし、スポーツテックの領域は自分たちで切り開いていこう、と。

中西:僕の祖父も実業家で、物心つくころにはすでに引退していたのですが、商売の話を聞かせてくれたりして、影響を受けましたね。大学時代はIT企業が注目を集め、自分でも起業しましたが、なかなかうまくいかず、大きなインパクトをもたらすには、やはり社会経験が不可欠だな、と。ベンチャーで新規事業開発に携わった後、コンサルに転職しました。3年ほど大手企業の新規事業開発に携わっていたのですが、起業からは遠ざってしまっていて。

リーマンショックなどの影響もあり、閉塞感を覚えていたころ、地下鉄駅構内にあったJICA海外協力隊募集のポスターに目が留まったんです。ちょうど深夜番組でベトナムが特集されたのを観て、開発途上国の成長のスピード感に圧倒されてもいました。そこで途上国で支援活動をして、課題解決を行うJICA海外協力隊に興味をもって、応募することにしたんです。環境を変えて、起業の“種”が見つかればいいなと思って。

髙久:フィリピンではどんな活動をされていたのですか。


「テクノロジーには世界を前進させる力がある」中西敦士


中西:ルソン島でマニラ麻を栽培する農家の収入向上を目指し、新規製品開発や資金調達、各省庁との折衝などを行いました。マニラ麻はカゴバッグや紙幣の原料などにも使われているのですが、もっと収益性の高い製品を開発できないかと考え、着目したのがジーンズでした。高温多湿のフィリピンでは、ジーンズがフォーマルウェアとしても着られているほど、なじみのあるアイテムなんです。

そこでマニラ麻でジーンズをつくろうと試行錯誤して、協力してくれる工場や企業を探して、ようやくかたちになったのが「アバカジーンズ」でした。想定以上にコストがかかってしまいましたが、ちょうどある商社のフィリピン支社が開設100周年で、当初の事業が麻の日本輸出だったということもあり、記念事業として資金援助いただく運びとなりました。CSRの一環でプランテーションの植樹も行われ、農家の収入向上の足がかりをつくることができたタイミングで、任期を終えました。

髙久:かなり本格的に事業開発をされていたんですね。

中西:振り返ればヘルスケアに関心が向いたのも、フィリピンでの経験が原点だったと思います。親しくしていたご家族がいたのですが、あるとき家にお邪魔すると、ご家族のおじいさんがマンゴーをたくさん食べていたので、どうしたのか尋ねると「体調が悪くて医者に行ったところ、マンゴーを食べなさいと指導された」というのです。日本ではこんなとき、病院に行ったり薬を飲んだりするのが普通ですが、医療を受ける機会が、先進国と途上国で大きな差があるのをあらためて感じました。

DFreeの技術は排せつ予知だけでなく、心臓などほかの臓器にも応用可能です。ゆくゆくは、健康を維持できるような働きかけができな体をモニタリングして、どんな人も何かあればすぐに遠隔地の医師に診察してもらえるようなサービスが途上国でも構築できないかと考えています。

髙久:私たちも、誰でもいつでもどこにいても適切なトレーニングを受けられるような世界を目指しているので、とても共感します。私自身、日本にとどまらず海外でサービス展開したいという思いがあり、学生時代にカンボジアでパラスポーツ普及活動をしたり、中国に語学留学したりしました。日本でもグローバルに展開されている企業が数多くありますが、私たちもスポーツテックの領域でそんな存在になれたらと思います。


「誰もが適切なトレーニングを受けられる世界を目指す」高久侑也

中西:やはりテクノロジーには世界を前進させる力があると信じているんです。僕らの取り組む領域には課題が数多くあって、日本で一般廃棄物に占めるオムツの割合は2015年時点で4%。環境省は30年に7%まで増えると推測しています。介護施設では7割近くの方がオムツ・パッドを使用していますが、大半の方は適切なタイミングでトイレに誘導すれば、オムツの使用を減らすことができます。

排せつの問題は人の尊厳にもかかわりますから、なんとかこの問題を解決していきたい。ある施設でDFreeを利用したところ、脳卒中でまひのある方が2年ぶりにトイレに行くことができるようになり、自信を回復したことでご家族とのコミュニケーションも良好になったそうです。そんなふうに少しでも誰かの役に立てていると思うと、なんとか我々がこの世界の課題を解決しなければ、という使命感にも駆られるのです。

髙久:実は私の祖父も脳梗塞で倒れ、満足のいくリハビリや指導が受けられないまま1年後に亡くなってしまいました。そのときの後悔から、いまSportip Proを介護施設に展開して、ひとりでも多くの方が健康を維持できるような働きかけができないかと考えています。現場の方が使いやすいよう、オペレーションやUIを改善すべく、実際に私自身も介護施設で働いてリサーチしてみようと。

中西:それはいいですね。介護にはさまざまな構造的課題もあり、テクノロジーでサポートできることがたくさんあるはず。僕らが互いの得意分野からアプローチして、自分たちの未来のためにより多くの方が幸せに暮らせる世界を築きたいですね。

JICA海外協力隊 My Episode 0
https://www.jica.go.jp/volunteer/lp/my-episode-0/index.html


中西敦士◎慶應義塾大学卒業後、コンサルティング会社を経て、JICA海外協力隊でフィリピンに派遣される。2013年にUC Berkeley留学後、14年に米国法人 Triple Wを設立。15年にトリプル・ダブリュー・ジャパンを設立。排せつを予知するウェアラブル機器「DFree」を展開。

髙久侑也◎筑波大学体育専門学群卒業後、2018年Sportipを創業。「一人に“ひとつ”のコーチを提供する」ことをミッションに、指導者向けオンライン指導アプリ「Sportip Pro」やオンラインレッスンアプリ「Sportip Meet」を展開。

Promoted by JICA | text by Sachiyo Oya | photographs by Kenta Yoshizawa

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