Akiliは、小児の注意欠陥/多動性障害(ADHD)の改善を目的としたゲームベースのデジタル治療に関して、米食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことで知られている。
2022年半ばに完了予定の買収ディールでは、創業から10年になるAkiliの評価額を10億ドル前後と見積もっている。ディールの成立後、ブランク・チェック・カンパニー(BCC、白紙小切手会社)であるSocial Capital Suvretta Holdings Corp. I.との合併を通じて、Akiliが上場される手はずだ。
フェイスブックの元幹部で、「SPACキング」の異名をとるパリハピティヤは、バイオテクノロジーに特化したSPAC4社を2021年6月に相次いで立ち上げている。これらのSPACにとって2つ目のターゲット企業となったのがAkiliだ。
なお、これらのSPAC設立には、Suvretta Capital Managementのポートフォリオ・マネージャー、キシェン・メータ(Kishen Mehta)も関わっている。
2011年に創業したAkiliは、ソフトウェアと医薬品の交差する分野を事業領域とする企業だ。2020年には、同社が開発したアプリ「EndeavorRx」がFDAの承認を取得した。ゲームベースのデジタル治療としてFDAから承認を得たのは、これが世界で初めての例だ。
このアプリの適応症としては、8~12歳のADHD患者における「注意機能の改善」および症状の改善が挙げられている。投資家向けのプレゼンテーション資料によると、米国ではADHD患者は約1100万人にのぼり、そのうち8~12歳という年齢層の患者は約210万人いるという。
AkiliはEndeavorRxに関して、これまでに600人以上の患者を対象とした5つの臨床試験を実施した。さらに、2023年の下半期には、適応症の範囲をティーンエージャーと成人にも広げる根拠を得るためのピボタル試験(新規治療法の有効性を示す試験)を行いたいと考えている。