ビジネス

2022.02.08

世界初、米FDA承認の「ADHD治療ゲーム」開発企業が上場へ

Photo by Dina Rudick / The Boston Globe via Getty Images


現状では、EndeavorRxは商用化の前段階であり、市場への投入は2022年下半期を目標としている。今後に向けた最大の課題は、治療目的のゲーム費用への保険適用を、どうやって医療保険会社に認めさせるか、という点になりそうだ。

現在の価格は、処方されたかたちで90日間使用する場合に450ドル。処方なしで患者が自ら支払う場合の価格は295ドルとなる。

前述した投資家向け資料では、Akiliの現在の売上高は開示されていないものの、今後5~7年以内に、米国におけるADHD分野の売上高が5億ドルに達すると予測しているとの記述がある。これは、患者1人あたりの平均再処方回数を1.5回、保険適用と自費の患者の割合が半々と仮定した場合の数字だ。

このデジタル治療に保険を適用している医療保険会社の具体名について、Akiliは公開を拒否した。

Akiliの広報担当者ジュリー・ディカリオ(Julie DiCarlo)は、「当社は現時点では、保険者(Payer:医療保険を提供する民間保険会社や連邦政府など)に関する情報を明かしていない」とメールでコメントした。「当社の開発した治療法は、ゆくゆくは民間および政府運営の保険者の保険適用対象になると考えている。

当社のアプローチは、保険者との協力関係を通じて、EndeavorRxにアクセス可能な家族を増やすことを最優先としている。一方で、自費での支払いを容認する米国市場の特性に合致した道も確保していきたい」

AkiliではADHD以外にも、自閉スペクトラム症(ASD)や大うつ病性障害、各種炎症性疾患にまつわる認知機能障害の改善目的で開発されたソフトウェアの試験に向けて、研究開発を続けている。今後2年以内に、これらの適応症についてもピボタル試験へと進みたいとの考えだ。

今回のSPAC上場によって調達される資金は、最大で3億9000万ドルに達する可能性がある。Akiliは投資家向け資料で、この資金を「EndeavorRxの商用化、パイプラインの推進、新たなプラットフォーム技術開発に用いる」と述べている。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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