中国が「強制隔離の五輪選手」に非人道的扱い、各国が非難

Kevin Frayer(特派員)/ Getty Images

北京オリンピックに参加する複数の国の関係者が、中国政府の開催国としての振る舞いを問題視し、隔離された選手に対する非人道的な扱いや、不合理な規則、海外メディアの弾圧などを指摘している。

ロイター通信によると、フィンランドの男子アイスホッケーチームのユッカ・ヤロネン監督は2月6日、ホッケーのマルコ・アンティラ選手が新型コロナウイルスの陽性反応を受けて隔離されていた間、適切な食事をとれず、「絶大なストレス下」に置かれていたとして、中国政府が選手の人権を尊重していないと非難した。

フィンランドのチームドクターによると、中国は18日前に陽性反応を示したアンティラ選手が、もはや感染力があるとは考えられないにもかかわらず、隔離を強要したという。

さらに、5日にはドイツのチーム主任が、同じく陽性反応を受けて隔離されているスキー選手のエリック・フレンツェルが置かれた環境が「受け入れがたいものだ」と記者に語り、部屋の清潔さの欠如や食事の質の低さ、WiFi環境の不備を訴えた。ただし、これらの問題は翌日には解消されたという。

同じく隔離を余儀なくされたベルギーのスケルトン女子のキム・メイレマンス選手は2日、インスタグラムに涙ながらの動画を投稿し、検査で2回続けて陰性となったため、隔離を解かれると思ったが、さらに別の施設に隔離されたと訴えた。

「選手村に戻れるかどうかも分からない。この隔離された状態で、あと14日間を乗り切れるか、競技をこなせるかどうか自信がない」と、メイレマンス選手は泣きながら訴えた。

一方、中国政府の海外メディアに対する対応も問題視されている。当局は、4日に競技場の外で取材をしていたオランダのテレビ局の記者を、生放送中に強引に立ち退かせた。その記者はツイッターで、自身や他のメディアの同僚が、名前を名乗らない当局者に呼び止められたことが何度もあると述べている。

米国、英国、カナダなど多くの国が、中国のウイグル自治区や、チベット、台湾に対する人権侵害に抗議し、オリンピックに閣僚や関係者を派遣しない外交ボイコットを宣言した。

4日の開会式では、ウイグル人のオリンピック選手が最後の聖火ランナーとして登場したが、専門家はこれが中国政府の何らかの意図に基づくものだと批判している。

フロストバーグ州立大学で新疆ウイグル自治区の問題を研究するMa Haiyun准教授はロイターに対し、「中国は、聖火台のメンバーにウイグル人の選手を選ぶことで、欧米からの大量虐殺や迫害についての批判をかわそうとしている」と述べた。

翻訳=上田裕資

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