オミクロン株の生存期間は武漢株の3~4倍、対策の継続が重要

Jim Davis/The Boston Globe via Getty Images

新型コロナウイルスの変異株、オミクロン株はパンデミック発生当初に流行していた中国・武漢で確認された“従来型”の株と比べ、人間の皮膚やプラスチックの表面での生存期間が大幅に長くなったとする研究結果が発表された。

この研究は、京都府立医科大学の研究チームが国立感染症研究所から提供を受けた新型コロナウイルスの複数の株のサンプル(従来株、アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株、オミクロン株)を使って実施したもので、査読前の論文の投稿サイト、bioRxiv(バイオアーカイブ)に投稿された。

研究チームは、それぞれの株をポリスチレン(プラスチック)製のプレートとヒトの皮膚(遺体から採取)に付着させ、何時間後まで検出が可能か計測した。その結果、プラスチックの上での生存期間はオミクロン株が約8日で、従来株の2.3日より4倍近く長くなっていた。その他の結果は、以下のとおり。

・プラスチック:従来株/56時間、ガンマ株/59.3 時間、デルタ株/114 時間、ベータ株/156.6時間、アルファ株/191.3時間、オミクロン株/193.5 時間

・皮膚:従来株/8.6 時間、ガンマ株/11時間、デルタ株/16.8時間、ベータ株/19.1時間、アルファ株/19.6時間、オミクロン株/21.1時間

変異を続ける新型コロナウイルスについては、一定の期間ごとにその変化を確認しておくべきだといえる。研究チームは、アルコールベースの溶液がこれらの異なる株をいずれも不活化するのかどうかについても、確認した。

チームはまず、試験管にエタノール濃度の異なる消毒液とそれぞれの株の新型コロナウイルスを入れ、不活化されるまでの時間を調べた。32.5%濃度のエタノールでは、従来株とガンマ株は15秒以内で不活化したが、同様に15秒で不活化するには、アルファ、ベータ、デルタの3種類の株には35%濃度、オミクロン株には40%濃度が必要だった。

この結果が示すのは、オミクロン株はそれ以前に出現した変異株よりも耐性が強まっているということだ。
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編集=木内涼子

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