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2022.02.10

遊び心とAIのアルゴリズムが共鳴する 藤原ヒロシ×マーク・ゴンザレスのNFTプロジェクト

未来から振り返ったとき、昨年から今年にかけての2年間はNFTアートが遂に勃興した時期だと語られるに違いない。1月27日に発行された「ノン・フラグメント・トークン」が歴史の歯車を大きく回転させる。そのキーマンである藤原ヒロシに話を聞いた。


昨年来、NFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)にまつわるニュースが世界を揺るがしている。

2021年3月11日、英国の競売大手クリスティーズが主要競売会社としてはじめてNFTの技術を使った作品を競売にかけ、ビープルというアーティスト(本名マイク・ウィンケルマン)のデジタルコラージュ作品「エブリデイズ:最初の5000日」が約75億円で落札された。この落札額は、存命の作家の作品としてはジェフ・クーンズとデイビッド・ホックニーに次いで3番目に高い。

同22日には、ツイッター社を創業したジャック・ドーシーによる2006年3月21日の最初のツイートがNFTとして約3億1,000万円で落札された。落札者はマレーシアのソフトウエア会社CEOで、「これは単なるツイートではない。モナリザの絵のように何年か後に真の価値に人々は気づくだろう」と自身のツイッターに投稿した。ドーシーは、今回の競売で得た総額をアフリカの貧困支援団体に寄付したという。

NFTは暗号資産(仮想通貨)の基盤技術になっているブロックチェーンを活用し、作者や所有者の情報、取引履歴などを記録する。その記録の改ざんが難しいことから、作品の唯一無二性を証明できるとして、NFTアートは真正の価値をもつデジタル資産と考えられるようになった。

デジタルで作成した絵画や音楽などは、通常だと簡単にデータのコピーが可能となる。そのため、希少性を評価して売買の対象とするのが難しかった。この課題を解消してくれるのがNFTだ。デジタル版の鑑定書や所有証明書といえるNFTの技術を使うことにより、仮に改ざんや複製されたものが出回ってももとの作品と区別できる。

いま、NFTアートの誕生によって「所有」や「価値」、さらには「コミュニティ」の概念が問い直されている。


藤原ヒロシ

稀代のヒットメイカーがNFTアートに参入


2022年1月27日、オンラインのNFTマーケットプレイス「ソウルシフト」において、注目すべきNFTアートが販売された。藤原ヒロシとマーク・ゴンザレスによるNFTプロジェクト「NON FRAGMENT TOKEN(ノン・フラグメント・トークン)」から、1万人の「Shmoo(シュムー)」がリリースされたのだ。

シュムーとは、伝説のスケートボーダーにしてアーティストのマーク・ゴンザレスによって描かれるキャラクター。今回は1万人のシュムーが個々にビジュアライズされており、ひとつとして同じ絵柄が存在していない。どのシュムーを手に入れることができるのかは購入してみるまでわからない仕掛けとなっている。

このプロジェクトを立ち上げたのは、藤原ヒロシという日本人だ。彼のことをよく知らないForbes JAPAN読者のために、略歴と人となりを伝えておきたい。

例えば、ナイキは非アスリート系でははじめてのクリエイティブ・コンサルタントに彼を選出した。ルイ・ヴィトン、マセラティ、スターバックス、バカラ……。藤原ヒロシが主宰するデザインプロジェクト、フラグメントデザインがこれまでに手がけてきたコラボレーションの相手先は錚々たるものだ。

なぜ、多種多様なグローバル企業が藤原とのコラボレートを求めるのだろうか。

彼は1964年に三重県伊勢市で生まれ、中学生時代からリアルタイムでパンクを聴くようになり、7つ上の姉の影響で同時代のディスコやソウルミュージックにも親しんだ。

「セックスピストルズが好きになるわけですけど、結局は僕が影響を受けたのは、それを仕掛けた人たち。マルコムやヴィヴィアンでしたね」

パンクムーブメントのフロントマンであったジョニー・ロットンから入るも、彼の興味はムーブメントの裏側へと回り込む。LONDON PUNKという革命を起こした裏の仕組みから影響を受けた。

70年代の後半に多感なローティーン期を迎えた日本の少年は、その多くが自室の天井および自身の苛立ちを見つめながらパンクを聴いたはず。だが、彼は聴くこと以上のものを求めた。82年には海を渡ってロンドンに遊学し、マルコム・マクラーレンやヴィヴィアン・ウエストウッドと友だちになる。そうした若い時分から変わらないのは「右向け右!」の号令が嫌いで、押しつけるのも押しつけられるのもイヤだということ。しかしながら、誰かと何かで意見が合わなくても、そこでは終わらない。「でも、焼き鳥は好きっすよね?」という感じで、好きなものだけを共有できて友だちになれればいいとする柔軟性・包摂性を有する。すなわち、頑なではない。異論・異端を認める。むしろ、異論・異端をおもしろがって取り込む。シニカルな目線をもっているが、固定化されたイメージに基づいて否定または悲嘆することがない。だから、藤原はいつの時代も創造性に富み、周囲には人が集まり、刺激的なプロジェクトが進行していく。

「仕事をするうえで社会的な意義やミッションなどは考えたことがないですね。自分と周りの友だちのために働いているだけです。まずは自分の気持ちが裕福にならないと、人の気持ちを裕福にすることはできないというか……。自分が楽しめていないと、周囲も楽しめないですからね」

企業とではなく人と仕事をする。友だちや知り合いと自然な流れで仕事をしていく人。これらが、藤原をよく知る仲間による藤原評だ。まさに自然な流れで、あのエリック・クラプトンとはマーティンのアコースティックギターをカスタムメイドしている。自分が欲しいもの、友だちとおもしろがってつくっているもので、世界を楽しませてきた。

人間の遊び心とAIのアルゴリズムが共鳴


今回のNFTプロジェクトでコラボレートしたマーク・ゴンザレスは30年来の友人だという。なぜ、藤原は彼に白羽の矢を立てたのだろうか。

「クリプトパンクスにしてもそうですが、NFTアートはデジタル感のある打ち出しになっているものが多いですよね。マークの絵には手描きのアナログっぽさがあります。NFTアートとして、このアナログ感が逆におもしろいのではないかと考えました」

2017年にラルバラボ社から発表されたクリプトパンクスは世界初のNFTアートとされ、1万個のキャラクター画像がデジタル空間に存在している。これまでにもっとも高いものが約8億2,000万円で取引され、VISAが「CryptoPunks #7610」を約1,700万円で購入したことでも話題になった。このシリーズは24✕24ピクセルのドット絵で描かれているので、当然ながら見た目はデジタルな味わいだ。

クリプトパンクスはふたりのカナダ人プログラマーが始めたプロジェクトだが、このNFTアートの始祖に対し、藤原とゴンザレスのふたりはもち前の反骨心でオマージュを捧げているようだ。総数1万点からなるジェネラティブ・アートという様式を始祖から受け継ぎながらも、マーク・ゴンザレスならではのアナログなタッチにより、NFTアートの新たな地平を開拓している。ジェネラティブ・アートとは、パーツ分けされたイラストやテクスチャ、3Dモデルなどのデータからランダムに組み合わせるアルゴリズムを用いたプログラムで画像を生成する芸術様式のことだ。つまり、アナログとデジタルの共鳴が「ノン・フラグメント・トークン」に独自の深みを与えている。

「1万人のなかには明らかに僕っぽいシュムーもいますが、これは僕からのオーダーではないです。マークの遊び心とAIのアルゴリズムによる仕業ですよ(笑)。今回、基本的にマークには自由に描いてもらいましたからね。髪型と眼鏡を変えるだけでシュムーが僕になるというのは、新しい発見でした。マークがおもしろがって描いてくれたのなら、それこそが最高というか、僕としてもうれしいです。彼はシニカルなんですよね。僕のことも皮肉っているのだと思いますよ。ちょっと陰があるというか、ダークネスが潜んでいるようなものに僕は惹かれるので、まあ、いいのですが(笑)」


藤原ヒロシとマーク・ゴンザレスによるNFTプロジェクト「NON FRAGMENT TOKEN」。右から2番目は藤原ヒロシをモデルにした「Shmoo(シュムー)」

藤原が目を細めながら「彼はウィアード(変わり者)です」と賞賛するマーク・ゴンザレスの茶目っ気が効いて、シュムーは藤原の私物のアイテムを着用または所有していたり、ペットを飼っていたりで、何かとにぎやかだ。クリプトパンクスには、1万体のなかでエイリアンが9体、エイプ族が24体、ゾンビが88体といったようにレアキャラが存在する。レアなパンクスほど高値で取引されるようになり、最高額の8億2,000万円を記録したのもエイリアンのひとつだった。

藤原とゴンザレスによる「ノン・フラグメント・トークン」の場合、まだ発行から間もないので本稿執筆時には不明だが、レアキャラの存在および格付けがこれから明らかになってくるだろう。



コミュニティの可能性、そして幸せを模索していく


2022年1月27日、「ノン・フラグメント・トークン」は世界中からのアクセスにより、1万個が即座に完売した。ひとつの価格は暗号資産(仮想通貨)で7SOL。SOLはブロックチェーン「SOLANA」で使用される通貨であり、7SOLは販売時のレートで約7万円だ。

NFTアートには、プライマリー(一次)市場とセカンダリー(二次)市場がある。それはNFT以外のアートや債券、不動産などと同じであり、これからは買い手と売り手の需給バランスによって価格が決まる。他のアートや債券、不動産と異なるのは「ノン・フラグメント・トークン」をローンチしたNFTマーケットプレイス「ソウルシフト」が、これからはコミュニティビルダーとしての本領を発揮していくところだ。

いま、「Rarity Explorer」とのタイトルが付いたソウルシフトのWEBページ(https://explorer.soulshift.io/non-fragment-token/)では、#1から#10000まですべてのシュムーのビジュアルが公開されている。しかも、画像のみならず、そのビジュアルを構成している背景やキャラクターベース(肌色)、ウエアやアクセサリーなどの着用物、その他の所有物といった情報も開示。全キャラクターが10のレイヤーで構成されているのだが、Rarity Explorer=希少性の探検家というページタイトルのとおり、レイヤーごとのレア度(1万個のなかでの出現率)がパーセンテージで示されている。

「僕に似た髪『HF Hair Grey』の出現率は0.96%でした。Rarity Explorerでは一体ごとに服や小物のブランド名まで書かれていたりして、トレーディングカード図鑑のようになっているので見ていて飽きない感じですね。今後はNFT所有者のみが購入可能なアイテムなども登場する予定です。現状においては、NFTやNFTが生み出すコミュニティの本当のおもしろさが、僕にはまだわかっていません。コミュニティの皆さんと一緒にこれから見つけていけたらと思っています。皆さんと幸せを模索していきたいですね」

そう遠くない未来において、「ノン・フラグメント・トークン」はメタバースの空間ともリンクしていくのだろう。いま、目の前には、あらゆる可能性が拡がっている。


ふじわら・ひろし◎82年、ロンドンに遊学。83年にニューヨークでDJの現場を体感。帰国後に日本におけるクラブDJのパイオニアとして活動。音楽プロデュース業では自身の楽曲を発表するのみならず、小泉今日子、藤井フミヤ、UAなど多数のアーティストの作品を手がける。また、グッドイナフなどのファッションブランドで日本のストリートカルチャーを牽引。海外の著名人との親交も厚く、現在も世界のクリエイティブシーンで活躍を続けている。

Promoted by ソウルシフト / text by Kiyoto Kuniryo / photographs by Shuji Goto / edit by Akio Takashiro

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