テクノロジー

2022.02.05 07:30

非難殺到の顔認識企業、Clearview AIがバイデン政権との契約を拡大中

Westend61 / Getty Images

ピーター・ティールが支援する顔認識企業「Clearview AI」が、顔認識テクノロジーを組み合わせたAR(拡張現実)メガネを米空軍に提供する契約を獲得した。

Clearview AIはフェイスブックなどのSNSから何十億もの人々の顔データを吸い出し、政府や警察が個人を特定するための巨大なデータベースを作成することで知られる企業で、プライバシー保護団体から強い非難を浴びている。同社のテクノロジーは、2020年のニューヨーク・タイムズ(NYT)の記事で、メガネ型デバイスにも対応することが報じられていた。

同社が米空軍と結んだわずか5万ドル(約570万円)の契約は、「ARと顔認識技術の組み合わせで、飛行場を守る」ことが目的とされている。

しかし、テクノロジー業界の透明性と説明責任を問う非営利団体「Tech Inquiry」のジャック・ポールソンが発見した契約記録からは、このテクノロジーがどのように使われるのか、何組のメガネが提供されるのかといった具体的情報がほとんど得られていない。

米空軍は、フォーブスからのコメント要請に回答を寄こしていない。一方で、2017年にティールの支援を受けてClearviewを設立したオーストラリアの起業家のホアン・トンタット(Hoan Ton-That)は、「米空軍と契約を結べたことは光栄であり、彼らのニーズに応えていく」と述べた。

Clearview社は、2020年にメディアの報道によって注目を集めて以降、プライバシー擁護派からの厳しい非難にさらされており、アメリカ自由人権協会(ACLU)は同社を提訴していた。

同社のテクノロジーの最大の問題点は、犯罪歴の無い人々を含む、巨大な顔のデータベースが作成され、それが監視や捜査に利用される点だ。また、顔認識システムには人種的な偏りがあると批判されており、黒人などの白人以外の人種では、誤認識のケースが多いとされている。
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翻訳=上田裕資

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