とは言っても、農村地帯の農業従事者の能力が低かったわけではない。利用できる農具が限られ、共産化初期は共同社会として働いていたため、生産量が少なかったのだ。
一方、企業は労働者確保を競い合い、都市部の工場労働者の生産性は高まり、給料は増加した。
私は昨年の記事で、現在の政治状況により、中国の「経済的奇跡」が終わろうとしていると論じた。しかしその前にも、中国では最も簡単な経済発展の機会が既に使い果たされており、国が成熟し過ぎているためもはや急速な経済成長を遂げられないことに私は気づいていた。
この二つの考え方は両立できるもので、前者は必然ではないが、後者は避けられないものだ。
今後、中国の経済が再び急成長を遂げる可能性はある。それには、中国政府がここ数年で強めてきた経済統制の多くを捨てる必要がある。それでも、成長率は過去40年間で幾度も見られてきた10%の水準に達しないだろう。これは予測ではなく、現時点では起きそうにないシナリオだということだ。
人口が増えれば経済の全体的な規模も膨らむのは確かだが、国民1人当たりの生活水準を高め、経済を成長させる上で、人口増加は必要ない。