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2022.02.06

中国の低出生率、経済発展の障害には必ずしもならず

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中国の出生率が下がり続けている。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、昨年の出生数は1062万人で、前年の1202万人から下がっており、死亡数の1014万人を辛うじて上回る水準にとどまった。女性1人が産む子どもの数を示す出生率は1.3にまで下がっており、人口維持に必要な2.1を大きく下回っている。

こうした人口増加率の鈍化により、中国の経済成長見通しへの懸念が浮上している。ただ、中国の急速な経済成長がピークを過ぎたことは明らかではあるものの、これは過剰な懸念だ。

国の経済は、総人口に1人当たりの生産量をかけた単純計算ではじき出される。この計算に間違いはないが、その裏にはいくつか重要な事柄が隠されている。

多くの人は生産的ではない。とはいっても、これは特定の人に対する侮辱ではなく、子どもや高齢者の多くは経済的価値をほとんど生まないという意味だ。先ほどの計算は、次のように表現することでより多くの見識を与えてくれる。

それは、国の経済は総「労働」人口に1人の「労働者」の生産量をかけることにより導き出されるということだ。

乳幼児は、短期的には経済を促進させず、むしろ疲弊させる。これは親なら誰もが分かることだ。現在の赤ちゃんは20年後、経済にとって重要な存在になるが、それは向こう数年の経済予測ではあまり価値を持たない。

中国の高度経済成長は、鄧小平が1978年に国の最高指導者に就いたことで始まった。鄧は起業活動の容認など、さまざまな改革を実施。起業容認は小さな施策から始まったが、やがては沿岸都市などで大規模な工業化につながった。

中国の急速な経済成長は、人口の増加ではなく、人口移動によりもたらされた。中国の貧しい農村部から都市部への人の移動は、人類史上最大の人口移動かもしれない。この移動により、人々は生産性が低い農業から、生産性が高い工業へと移った。これは起業を容認した政府の施策により可能になったものだ。
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編集=遠藤宗生

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