全世界の投資家が、2021年の1年間にETFおよびミューチュアル・ファンド(米国の一般的なオープンエンド型投資信託)に投じた金額は2兆4000ドルに達し、これまでの記録を更新した。この総額のうち、圧倒的多くをETFが占めていることを、モーニングスターの調査結果は示している。
この新たなデータは、ETF業界にとっては朗報だが、ミューチュアル・ファンドしか提供していない投資信託会社にとっては悪いニュースだと、モーニングスターは述べている。調査リポートには、以下のような記述がある。
「2021年末の時点で、ETFは資産総額の21%を占めるにすぎないが、正味の流入超過分のうち49%を引き寄せている。このままのペースで行けば、ETFがグローバルな正味の流入超過分のうち過半数を占める日も遠くないとみられる」
言い換えるなら、投資の選択肢としてETFを提供していない投資信託会社は、投資家のカネを集める競争において不利な立場に置かれるおそれがあるということだ。投資会社にとって、ETFは急速に、絶対に欠かせない投資商品となりつつある。
モーニングスターの調査結果は、米投資信託協会(ICI)のデータと同時期に発表されたものだ。ICIによると、2021年の1年間に、米国の投資家が、米国株に投資するミューチュアル・ファンドから引き上げた資金の総額は4400億ドルに達したという。前年の2020年には、これをさらに上回る6460億ドルが米国株のミューチュアル・ファンドから流出しており、2年連続の大幅な流出超となった。
これは、前段で触れたモーニングスターのデータとも合致する結果だ。米国人たちが、従来型のミューチュアル・ファンドに見切りをつけ、ETFに流れている傾向を示している。
とはいえ、米国人がファンド投資をあきらめたわけではない。ETFとミューチュアル・ファンドの両方に関して、全世界の資金流入に占めるシェアが最も高いのは米国で、その額は実に1兆2000億ドルに達することが、モーニングスターの調査で判明している。一方、第2位にランク入りした欧州への流入額は、その半分以下である4850億ドルにすぎない。
このデータは、ウォール街が、顧客のニーズに合わせてたゆまぬ革新と変化を続けていることを示すものでもある。言い換えれば、金融業界でも他の世界と同様に、「変化」だけが不変の要素だということだ。