昨年8月にサービスを開始し、約10億ドルの資金を預かるブロックチェーンプラットフォームの「Wormhole」は、米国東部時間2日午後4時頃、ツイッターでハッキングの可能性をユーザーに通知し、ネットワークをメンテナンスのために停止したと伝えた。
その約1時間後、Wormholeは、同社のネットワークが攻撃され、異なるブロックチェーン間でイーサリアムをやり取りするためのラップドイーサ(WETH)と呼ばれるトークン約12万個が盗まれ、その価値が約3億2500万ドルに相当すると発表した。
ブロックチェーン分析会社のEllipticによると、Wormholeは、イーサリアムのブロックチェーンに埋め込まれたメッセージの中で、攻撃者に1000万ドルの懸賞金を提示して資金を返還させようとしたという。Ellipticは、今回のハッキングが暗号通貨分野で史上4番目の規模だと述べている。
Wormholeはフォーブスのコメント要請にまだ応じていないが、午後7時前にネットワークの脆弱性に「パッチを当てた」と述べている。ハッカーとされる人物が誰なのか、Wormholeのユーザーがどのような影響を受けたのかはまだ明らかになっていない。
ブロックチェーンのセキュリティ企業CertiKのアナリストは、今回のハッキングがソラナネットワークに対する過去最大の攻撃であり、DeFi分野にとって「不幸な現実」だと述べた。
Ellipticによると、DeFi分野が盛り上がり始めたのは2020年に入ってからだが、ハッキングやエクスプロイト(脆弱性を突く攻撃)によってDeFiサービスが被った直接的損失は20億ドルを超えているという。
データサイト「DeFi Llama」によると、すべてのDeFiトークンの現在の市場価値は1920億ドルに達している。この数字は12月に初めて2500億ドルを突破したが、その後の暗号通貨市場の下落にともない縮小した。
昨年8月には6億ドル以上のハッキング
証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は、DeFiとして知られる分散型金融業界を、政府がもっと精査するべきだと繰り返し述べてきた。DeFiプラットフォームは、伝統的な金融サービスの仲介者をほとんど排除し、代わりにブロックチェーンと暗号通貨によって取引を処理している。ゲンスラーは、このような行為は証券法や商品法、銀行法にふれる可能性があると指摘し、昨年、議会にSECの権限を強化するよう求めていた。
昨年8月には、別のDeFiプラットフォームの「Poly Network」がハッカーに6億ドル以上の暗号通貨を抜き取られ、この分野で過去最大のハッキングと報じられていた。それらの資金は最終的には返還されていた。