米国家情報局(DNI)が2月2日に発表した調査結果によると、高周波領域の電磁エネルギーや超音波などの「パルス状の電磁エネルギー」が、接近して使用された場合、これらの症状を引き起こす可能性があるが、どちらの説もまだ十分には説明できないという。
委員会が注目したのは、ストレスや集団ヒステリーなどの通常では説明しがたいと思われる健康上の訴えがあった複数のケースで、その症状には次の4つの特徴が見られるという。
(1)聴覚や平衡感覚に関連する問題が突然発生する。(2)めまいや平衡感覚・方向感覚の喪失、耳の痛み。(3)特定の方向から痛みがやってくる感覚。(4)症状の原因となる医学的、環境的な条件が未知であること。
米国政府の内外の専門家で構成された委員会は、ハバナ症候群と報告された症状が「本物で、説得力があるものだ」としている。委員会はまた、これまで報じられたいくつかの仮説を「ありえない」と断定し、そこには電離放射線や生物・化学的なエージェント、長距離超音波、電磁エネルギーによるバルク加熱を用いた攻撃などが含まれていた。
委員会は、政府に対しハバナ症候群に関するさらなる研究とデータの収集、診断に役立つバイオマーカーの考案などを提言した。
しかし、すべての専門家が委員会の調査結果に同意しているわけではない。一部のメンバーは、マイクロ波のような「指向性エネルギー兵器」は現実的ではなく、その存在やハバナ症候群の原因としての役割を裏付ける十分な証拠がないと主張している。
情報機関の一部では、ロシアの関与説が浮上したが、米中央情報局(CIA)は先月、暫定的な調査結果に基づき、ハバナ症候群の大部分は敵対的な外国勢力によるものではないとの見方を発表した。
バイデン政権は、1月31日、国家安全保障会議(NSC)の高官のMaher Bitarが、ハバナ症候群に関する調整役を務めること発表していた。
ハバナ症候群の最初の症例は、2016年にキューバのハバナにある米国大使館の職員の間で報告され、それ以降、約12カ国で勤務する米国の外交官、軍人、諜報員、政府関係者の間で、約200件の症例が報告されている。