フェイスブック、インスタグラム、ワッツアップの親会社であるメタの10~12月期の純利益は前年同期比5%減の103億ドル(約1兆1800億円)で、1株利益は市場予想を下回る3.67ドルだった。売上高は336億7000万ドルで、アナリスト予想(334億3000万ドル)を上回った。
社名をメタに変更した同社は、従来のソーシャルネットワーク事業から、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を通じてアクセス可能なデジタル空間の「メタバース」と呼ばれるコンセプトに移行しようとしている。これは大胆な事業転換だが、CEOのマーク・ザッカーバーグは、フェイスブックを見捨てた若い世代を引き寄せるために必須の戦略だと考えている。
第4四半期のフェイスブックの利用者数の前期から横ばいで、月間ユーザー数は29億1000万人にとどまった。また、メタの既存のアプリは、昨年の内部告発スキャンダル以降に強い批判を受けており、誤情報や問題コンテンツへの対処に追われている。
しかし、メタは当分の間、従来の広告事業に依存し続けることになる。広告部門の売上は第4四半期の収益の大部分を占める326億ドルだった。
今回の四半期決算で、同社は初めてメタバースプロジェクトのパフォーマンスとコストについて、詳細に説明した。「リアリティラボ」と呼ばれるこの部門の売上は8億7700万ドルだったが、損失は前年同期比約60%増の33億ドルだった。
リアリティラボの売上は、主にVRヘッドセットの販売によるものだ。2021年通年のリアリティラボの損失は、前年比50%増の101億ドル(約1兆1550億円)だった。
メタバースの構築に向けては、膨大なコストが発生することが明らかで、メタは、さらにこの先厳しい競争に直面することになる。スナップチャットを運営するSnapも同様の計画を進めており、マイクロソフトも1月にメタバース計画の一環として、ゲームメーカーのアクティビジョン・ブリザードを約700億ドルで買収すると発表した。