ピーター・ティールが極秘出資する「サイバー戦争」支援企業

ピーター・ティール(Photo by John Lamparski/Getty Images)


VCが注目する防衛関連のスタートアップ


ティールはまた、ランサムウェア対策企業のHalcyonにも出資しているが、関係筋によると同社はBoldendの完全子会社であり、ウェブサイトの出資元のリストにはFounders Fundと、Boldendの投資家のRon Gulaの名前が記載されている。

Boldendのような国防や軍事に関わるスタートアップは、近年、ベンチャーキャピタルから注目を集めており、その中には企業価値が14億ドル(約1600億円)のサイバーセキュリティ企業のQOMPLXや、2021年夏にソフトウェア大手のパーソンズに2億ドルで買収されたBlackhorse Solutionsなどが含まれている。

フォーブスは、Blackhorseが以前、米軍のためにダークウェブを調査する契約や、ウェブ上のオープンソースインテリジェンスを活用する方法について米海兵隊のサイバースペース司令部を訓練する契約を獲得したことを報じていた。

関係筋によるとBoldendは、ハッキングツールに特化した企業ではないが、同社はこの分野の有力企業に浮上し、イスラエルのNSOやパラゴン(Paragon)のようなスタートアップのライバルになる可能性がある。

テルアビブを拠点とするパラゴンは、米国のバッテリー・ベンチャーズの支援を受けて、警察にワッツアップやSignal、フェイスブックメッセンジャー、Gmailなどの暗号化されたメッセージの解読を可能にするツールを提供している。

Boldendはまだ小さな会社で、Pitchbookのデータによると累計調達額は1300万ドルで、評価額は3100万ドルとされている。しかし、同社の投資家の一人はフォーブスの取材に、Boldendの子会社のHalcyonは、国家の情報機関だけでなく、何千もの企業にプロダクトを販売するポテンシャルを秘めていると話した。

BoldendのCEOのジョン・ミラーは、2019年にブラックベリーに買収されたセキュリティ企業サイランス(Cylance)の出身で、他の社員の多くもサイランスの元社員だ。

同社のわずか2ページのウェブサイトには「当社のソリューションは、最先端の電子戦コンポーネントと次世代のサイバーオペレーションを融合させる」との文言が掲載されているのみで、プロダクトのページの閲覧には、パスワードが要求される。

フォーブスがBoldendのミラーCEOにコメントを求めたところ、広報チームが対応すると回答し、同社の業務が米国政府を支援するものだけに、慎重さが必要だと付け加えた。広報チームはその後、回答を寄こしていない。

編集=上田裕資

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