ビジネス

2022.02.11 08:00

2022年に注目すべき「持続可能な容器包装」の6つのトレンド


オレゴン州DEQがライフサイクルアセスメントの文献を評価し、リサイクル可能・不可能な2種類の容器包装を比較したところ、約50%の確率でリサイクル可能な容器包装の方がライフサイクルにおける環境負荷が小さく、約50%ではその逆であることが判明した。また、堆肥化可能・不可能な2種類の容器包装を比較したところ、同様の結果が得られた。
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「消費による気候への影響を考えるなら、『容器包装』をもっと総合的に見る必要があります」とGoldberg氏は話す。複数の外食企業と環境NGOの新たな提携「Single-Use Material Decelerator(使い捨て材料の減速機)」から生まれた「Understanding Packaging (UP) Scorecard(容器包装を理解するためのスコアカード)」は、総合的に見る一助になるだろう。現在ベータ版であるこのスコアカードは、食器や食品包装が環境や人間の健康に与える影響を総合的に評価するためのオンラインツールだ。

再利用・詰め替えソリューションに特化した非営利団体UpstreamのMatt Prindiville事務局長は、より総合的なアプローチとは、容器包装を製品としてではなくサービスとして捉え、再利用と詰め替えが可能なサプライチェーンを設計することを意味するとしている。

5. 再利用・詰め替え分野の、時間をかけた着実な成長


再利用のパイオニア企業であるAlgramo(チリ)とLoop(フランス)は、2021年も拡大を続けている。AlgramoはシリーズAラウンドで850万ドル(約9億6500万円)を調達し、ジャカルタ・ニューヨーク・メキシコ・ロンドンに進出するための資金を調達した。
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小売業の仏Carrefourは、ループと提携する9社のうちの1社で、再利用可能な容器サービスを店舗内で提供している/Image via Loop

ループも好調で、アメリカ・カナダ・イギリス・フランス・日本で店舗を運営している。ループの再利用可能な容器サービスは、日本・フランス・イギリスの大手食料品店で提供されており、アメリカでは2022年に、クローガーとウォルグリーン、バーガーキングで提供が開始される予定だ。

さらに、廃棄物管理の米テラサイクル社の最高経営責任者(CEO)であるTom Szaky氏によると、店舗での再利用可能な容器サービスの運営規模は拡大しているという。「現時点で当社の提携先は、消費者が関心を持っているかどうかは求めていません」とSzaky氏は話す。「いまは、より多くの店舗と製品が必要なときです。私たちはワクワクするような局面を迎えているのです」

ビール業界では、詰め替え戦略が進んでいる。たとえばオンタリオ州では、販売されるビールの85%で再利用できる詰め替え容器が導入されている。米国では、オレゴン州酒造組合(Oregon Brewers Association)が同州の大手地ビールメーカー12社と共同で詰め替え用ビール瓶のプログラムを実施しているほか、シアトルにあるアリーナClimate Pledge Arenaでは、再利用できるビールカップを導入している。

こうした明るい話題はあるが、なかなか進展が見られないのも事実だ。EMFのShepherd氏によると、2021年に再利用に関するパイロットは50%増加したが、ごく少ない市場、または製品ラインアップでの小規模な取り組みであるという。「あまり野心的な取り組みには見えません」とShepherd氏は話す。さらに、国連グローバル・コンパクトの署名企業が使用している再利用可能な容器包装の割合は、全体の2%未満と極めて低い水準にとどまっている。
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文=廣瀬優香

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