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2022.02.11 08:00

2022年に注目すべき「持続可能な容器包装」の6つのトレンド

2025年までに持続可能な容器包装を実現するという目標の達成に向け、時間と戦っている企業にとって、2021年は大きな試練の年となった。米国では、崩壊したリサイクルシステムを修復し、企業がより迅速にコミットメントに取り組めるよう、各州が画期的な法案を可決した。
※この記事は、2022年1月6日、オンラインメディアGreenBiz上に掲載されたMeg Wilcox氏による記事を許諾を得て筆者が翻訳しています。

オレゴン州環境品質局(DEQ)のシニアアナリストであるDavid Allaway氏は、GreenBizにこう語った。「廃棄物問題の存在を認めるときが来たのです。リサイクルシステムは、本来の環境効果を発揮しておらず、場合によっては環境に悪影響を与えることさえあります。これらの問題はすべて、責任分担のアプローチで解決できます」

2021年は、新型コロナウイルスによってサプライチェーンやリサイクル業界が混乱し続けていたが、進展も見られた。エレン・マッカーサー財団(EMF)が主導するグローバルコミットメントに署名した企業では、容器包装におけるバージンプラスチック使用量が数十年にわたり増加していたが、ピークに達した。再利用と詰め替えのアプローチは、少しずつではあるが成長を続けている。

この勢いは2022年も続くのだろうか?注目すべきトレンドをいくつか紹介する。

1. 拡大生産者責任


カナダや欧州で長年にわたって確立されてきた「拡大生産者責任(EPR)」は、2021年についに米国でも広がりを見せた。オレゴン州とメイン州では、容器包装の回収・処理のための資金をメーカーが援助することを義務付ける法律が可決され、ニューヨーク州・ワシントン州・カリフォルニア州などのほかの州でも可決される予定だ。

メイン州とオレゴン州ではアプローチが異なるが、どちらの法律でも、州内で包装製品を販売する企業は、生産者責任団体(PRO)に加入し、会費を支払い、販売する包装製品の量と種類を報告することが義務付けられている。オレゴン州の法律ではさらに、大手生産会社25社に対して、包装製品のポートフォリオの一部について、ライフサイクルでの環境負荷を定期的に評価し、開示することを求めている。メイン州の法律は2024年半ばに施行され、オレゴン州では2025年半ばに施行される。

両州とも、リサイクル可能かどうかにかかわらず包装材を対象としている。「リサイクルシステムの一部の課題を生み出している原因は、リサイクルできないものなので、この法律は本当に重要です」とAllaway氏は話す。

オレゴン州の法律では、州のリサイクルシステムに年間約8200万ドル(約93億2000万円)を投資し、地方自治体による長年の課題の解決を支援することになっている。しかしこの法律が、より環境に配慮した容器包装を企業が開発する動機になるかどうかについては、「価格シグナルは形成されますが、それほど大きなシグナルにはならないと考えています」とAllaway氏は話す。

2022年には、カリフォルニア州・ニューヨーク州・バーモント州・コネチカット州が法律の可決に向けて取り組みを本格化させる可能性がある。全米スチュワードシップ行動評議会(National Stewardship Action Council)の創設者で、リサイクル市場とカーブサイドリサイクル(道路脇に出された資源ごみを回収して行うリサイクル)に関するカリフォルニア州の委員会の委員長であるHeidi Sanborn氏は、「カリフォルニア州の議員らは、現時点で目標からどれほど離れているかを把握しており、遅れを取り戻したいと考えています」と話す。

EMFのグローバルコミットメントのプログラムマネージャーで、イニシアチブ「ニュープラスチックエコノミー」で戦略的対応を取っているLily Shepherd氏によると、世界的に見れば、同コミットメントに署名している8カ国の政府が、2025年までにEPR政策を導入することを決定、または計画している。8カ国は、オランダ・イギリス・ルワンダ・ニュージーランド・チリ・ペルー・フランス・ポルトガルである。
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文=廣瀬優香

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