米政府は1月下旬から、備蓄してきた高性能マスクN95を無償で配布し、誰もが手に入れられるようにしているが、調査からは、こうした取り組みの重要性が浮き彫りになったかたちだ。
この世論調査は、米国の成人2120人を対象に、2022年1月21日から23日に実施された。その結果、「N95やKN95のマスクには、新型コロナウイルス感染拡大を防止する効果があると思う」と回答した人の割合は86%に上った。
この割合は、「サージカルマスクには防止効果があると思う」という回答(75%)や、「布製マスクには防止効果があると思う」という回答(55%)、あるいは、「布製マスクと密着用フィッターを併用すると防止効果があると思う」(68%)よりも多いものだ。
ところが、実際に「N95かKN95のマスクを着用している」と回答した人はわずか29%だった。それに対して、「サージカルマスクを着用している」という回答は33%、「布製マスクを着用している」という回答は36%だった。
回答者のおよそ62%は、「価格や、購入のしやすさが問題でない場合」には、性能がより良いマスクを着用すると述べている。
米バイデン政権は2022年1月19日、N95マスク4億枚を薬局や医療センターなどで無償配布すると発表した。その直後から、そうしたマスクが入手できるようになっている。
バイデン政権の新型コロナウイルス対策調整官ジェフ・ザイエンツは2022年1月26日の記者会見で、無償配布は今後数週間で「本格化」し、全米各地の「数万カ所」で配布されることになると述べた。
N95、KN95、KF94はそれぞれ、米国、中国、韓国で認可販売されている高性能マスクだが、オミクロン株の感染急拡大で、その重要性がいっそう増している。
オミクロン株は感染力がきわめて強く、専門家によれば、布製マスクとサージカルマスクのオミクロン株に対する予防効果はそれほど高くない(サージカルマスクは、布製マスクよりも高性能な素材でできているが、N95ほど密着力がない)。
そのため、米国ではマスク着用ルールを変更し、より予防効果の高いマスクを使用するよう求める企業や政府、学校が増えている。
ユタ州ソルトレイク郡は1月、屋内でのマスク着用を義務付けた。また、カリフォルニア州ロサンゼルスは、企業に対して従業員にマスクを配布するよう義務づけたほか、学校における子どもの布製マスク着用を禁止した。
米疾病予防管理センター(CDC)は、「できるだけ予防効果が高く、密着するマスクを常に着用すべきだ」と呼びかけている。しかし同サイトでは、「N95やKN95を適切に着用するとより高い予防効果が得られる」としながらも、それらの着用を推奨するには至っていない。