ビジネス

2022.02.14

オーダースーツDX革命? 初回はプロが採寸、2着目からスマホで

「コナカ」が展開するオーダースーツブランド「DIFFERENCE」

国内のファッションブランドがDXを活用し、オーダーメイドスーツを自宅で注文できる取り組みを展開している。初回時に来店して採寸したデータをユーザーと共有し、2回目以降はオンライン上でスーツのオーダーができるといった仕組みだ。これにより、最小限の時間で潜在ニーズである自分の体形やパーソナルカラーに合ったスーツをオーダーできるという。

こうしたDXを活用したオーダースーツの販売サービスが近年広がりをみせている中、新たな販売戦略に取り組む各ブランドについて紹介する。


職人の技術力とITシステムを組み合わせ、短期納期を実現


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「DIFFERENCE」店舗外観(写真提供:DIFFERENCE)

オーダースーツというと高価で手間がかかり、敷居が高いといったイメージがあるかもしれない。そこで、「コナカ」が展開するオーダースーツブランドDIFFERENCEは、デジタル活用で気軽にスーツをオーダーできる体制へ舵を切った。初回オーダー時に来店しテイラーによる計測が行われ、2回目以降はユーザーがアプリでオーダースーツを発注できる仕組みだ。

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左上「ホーム」/右上「アイテム選択」/左下「生地選択」/右下「選択した生地」(写真提供:DIFFERENCE)

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左上、右上、左下「オプション選択」/右下「サイズ選択」(写真提供:DIFFERENCE)

自社工場では受注データが反映され次第、すぐに製造作業に取りかかれるようになっている。受注した夜には型紙用のデータに直接反映でき、翌日には裁断・縫製ラインへと工程を進めていく。このスピーディーな対応の背景には、同社がオーダメイド製造を専門的にやってきた工場だということが影響している。こうして熟練の職人たちの技術にITを加えたことで、品質を落とすことなく短期間でユーザーの元へとスーツを届けている。

完全受注型で過剰供給を無在庫で解決


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アパレルブランド「THE ME」店内(写真提供:THE ME)

三菱商事ファッションは、完全受注生産型のアパレルブランド「ザ ミ―(THE ME)」を2020年に立ち上げた。量産を前提とせず、一人一人に合わせた服作りをコンセプトとしたブランドだ。

原宿にオープンした店舗兼ショールームには、3Dボディースキャナーを設置。3Dボディスキャナーは顧客の任意にて、実際にはナビゲーター(スタッフ)によるリアルな接客と採寸をメインとしている。その後ユーザーは、採寸したデータに基づいて、自分に合うサイズサンプルを試着し、専門性の高いスタッフのアドバイスのもと体形に合わせて丈感などを補正してもらう。また、『THE ME』ではカジュアル商品を含むオールアイテムがカスタマイズ可能である。

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ビジュアルイメージ(写真提供:THE ME)

自分でカスタマイズしたデザインは、ウェブ上のマイページで確認・「カスタマイズ」の項目から色やポケットの有無などが変更できる。注文すると、約2週間後には商品が手元に届くといった仕組みだ。

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同ブランド ウェブ上のマイページ。店舗で補正したサイズが反映されて「マイサイズ」と表示される(写真提供:THE ME)

完全受注生産で、国内外の10カ所以上の縫製工場とオンラインで連携させながら生産している同ブランド。無在庫で販売するに至った背景には、無駄のものを作らないというサステナビリティーの精神があるという。世界中のファッション業界が抱える課題解決に取り組むとともに、ユーザーの願いを全て叶えられる仕組みを整えた。
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文=アステル 編集=石井節子 協力=長谷川寧々

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