コーエン・アンド・カンパニーによると、ロシアは原油を日量およそ500万バレル、石油精製製品を250万バレル輸出している。世界全体の石油取引の約1割にあたる量だ。北海ブレント原油先物は1月31日午前、8年ぶり高値となる1バレル88.88ドルに上昇しており、ロシアは1日に6億ドル(約690億円)超の収入を石油から得ている計算になる。
加えて、ロシアは天然ガスも日量230億立方フィート輸出しており(うち約20億立方フィートはウクライナ経由で輸送されている)、やはり上昇している同日の欧州市場の相場に基づくと1日あたり4億ドル(約460億円)ほど稼いでいる。
重要なのは、ロシアのこうした化石燃料収入はもはや「オイルダラー」とは呼べなくなっているという点だ。2013年時点では、ロシアからブラジル、インド、南アフリカ、中国への輸出の95%は米ドルで代金が支払われていたが、プーチンがロシア経済の「脱ドル化」を推し進めてきた結果、米議会調査局によるとドル決済の現在の比率はわずか10%まで下がっている。
プーチンはさらに、国際銀行間通信協会(SWIFT)に代わる新たな決済システムも整備した(ジョー・バイデン米政権はロシアがウクライナに侵攻した場合、ロシアをSWIFTから締め出すことも辞さない構えを見せている)。米国による経済制裁を受けて2015年に立ち上げた「Mir(ミール)」である(Mirは今ではアップルの決済サービス「アップル・ペイ」にも接続している)。