経済・社会

2022.02.01 17:00

中国で「ゲイ向けアプリ」が削除、五輪前の規制強化との見方

Leon Neal/Getty Images

ゲイなどの性的マイノリティの人々の間で人気のデートアプリ「Grindr」が、中国のiPhoneのアップストアから密かに削除された。この動きは、北京冬季五輪の開催を目前に控えた中国で、違法なオンラインコンテンツとみなされるものを幅広く取り締まる動きの一環と考えられている。

ブルームバーグが最初に報じたところによると、Grindrはアップルのストアだけでなく、ファーウェイやテンセントらが運営するアンドロイド向けのアプリストアからも削除されている。

今回の削除は、中国政府が噂やポルノ、ギャンブル、その他の「不健全な行為」を含む違法コンテンツの取り締まりを強化すると発表した数日後に行われた。

Grindrがゲイのためのマッチングサービスであることを理由に標的にされたかどうかは不明だが、Bluedなどの中国企業の同カテゴリのアプリは依然としてアクティブであるとブルームバーグは報じている。

Grindrは、2022年の北京冬季五輪の開催の数日前に、さまざまなアプリストアから削除された。今回の削除が五輪に関連しているのかどうかは不明だが、Grindrは過去のオリンピックで複数のLGBTQのアスリートに利用されてきた人気のアプリだ。

また、このアプリは過去にいくつかの論争の種になっていた。2016年に開催されたリオ五輪では、Daily Beastの記者が、Grindrが選手村の有名アスリートの間で出会い目的で利用されているとの暴露記事を公開し、強い非難を浴びていた。

その後、ゲイのアスリートらが母国で迫害を受けるのではないかという懸念が高まり、Daily Beastは記事を削除し、謝罪していた。昨年の東京五輪でも、一部のTikTokユーザーがGrindrの「Explore」機能を使ってLGBTQのアスリートを暴露したことで、同様の論争が起きていた。

中国のサイバースペース管理局(CAC)は先週、旧正月に向けた「健全な環境」づくりの一環として、同国のインターネット法に違反するコンテンツを対象としたキャンペーンを開始した。

CACは、違法コンテンツのリストに同性愛やゲイに関わるものを挙げていないが、中国政府は近年、性的マイノリティに対して不寛容な姿勢を示しており、昨年は「娘炮(女々しい男)などの不良文化」をテレビから追放すると宣言した。

編集=上田裕資

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