バハマを拠点とするFTXの今回の調達ラウンドには、シンガポールのテマセクや暗号資産のベンチャーキャピタルのパラダイム、オンタリオ州教職員年金基金、NEAなどの既存の投資家が参加した。
今回の資金調達は、FTXの米国子会社のFTX U.S.が、同じ投資家から4億ドルを評価額80億ドルで調達したことを発表してからわずか3日後のことだ。
FTXのCEOのサム・バンクマン・フリードは声明の中で、今回の調達が「画期的な成果」であり、ここ最近、暗号通貨のデリバティブ取引に進出し、20億ドル規模のファンドを立ち上げた同社がさらにサービスを拡大する上で役立つはずだと述べている。
バンクマン・フリードは31日、CNBCに対し、同社がIPOの可能性について議論しており、準備を進めていると述べた。
FTXの評価額は昨年7月時点で180億ドルだったが、それ以降に約18億ドルを調達しており、1年前との比較では評価額を15倍に伸ばしている。
2年前に設立されたFTXは、世界最大の暗号通貨取引所の1つに急成長し、CoinMarketCapのデータによると、取引ボリュームで常にトップ10に入っている。同社は31日、前回の資金調達の10月以降に、ユーザー数が60%増加し、1日の平均取引ボリュームが約140億ドルになるなど、「目覚ましい成長を遂げた」と発表した。
CoinGeckoのデータで、世界の暗号通貨の時価総額は現在約1.7兆ドルで、11月の史上最高値の3.1兆ドルから40%以上の下落となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が1月初旬に、これまでの予想よりも早く金融の引き締めに動く可能性があると警告したことで、暗号通貨市場は暴落に襲われ、1月だけで約5000億ドルの価値が失われていた。
しかし、バンクマン・フリードは31日のCNBCの取材に、金利への懸念のダメージを受けたのは暗号通貨だけではないと指摘し、暗号通貨が「長期的な冬」に突入したとは思わないと述べ、最近の暴落に対する懸念を和らげようとした。
フォーブスの試算で現在29歳のバンクマン・フリードの保有資産は、今回の資金調達の前に171億ドルに達していた。彼は、世界で最も裕福な29歳とされている。