一部の有名企業を除いて、多くの会社のチャンネルは文字通り、「閑古鳥が泣いている」状態ではないだろうか。
そんななか、企業人ユーチューバーとしてひときわ輝いているのが、栃木県大田原市にある「ホンダカーズ野崎」だ。どこにでもありそうなディーラーだが、YouTubeの力で中古車販売台数を2倍にした。
日本国内だけでなく海外からもお客さんがやってくるようになり、2021年には「Google Japan社が選ぶ、日本のユーチューバー100人」にも選ばれた。
F1のエンジン設計士からディーラーに
ホンダカーズ野崎がある地域はそもそも人口が少なく、周辺の土地は半分ほどが田んぼ。週末に新規来店が0人ということも珍しくはなかった。
「2019年3月に『YouTubeがこれから流行するらしい』と聞き、軽い気持ちで始めました。それが今では毎日、YouTube経由での問い合わせが来るようになっています」
こう語るのは、店長の松本正美。家業のホンダディーラーに戻る前は、F1の無限チームでエンジン設計を手がけていた。その経歴を活かして、YouTubeでは「F1店長」として自ら出演。動画制作においても、企画から編集までのすべてを取り仕切っている。
ホンダカーズ野崎のチャンネル登録者数は5万6000人あまり(2022年1月現在)と、有名ユーチューバーと比べて、決して多いわけではない。それでも「実際にビジネスに結びつく」成果を挙げられているのは、何故だろうか。
YouTube制作、3つのポイント
「ビジネスでYouTubeを活用するなら、人気ユーチューバーの真似をすべきではありません。というのも、ユーチューバーは広告で稼ぎますが、私たちがYouTubeを使う目的は集客。彼らとは目的が根本的に異なります」
では、YouTubeを集客に結びつけるためには、どのように動画をつくるのか。松本店長は3つのポイントを心がけなくてはならないという。