第一話:プレスリリース事業の役割を見つめ直した、3.11での出来事|PR TIMES 山口拓己 #1
第二話:根性営業をしない、2つの理由|PR TIMES 山口拓己 #2
──BRIDGE(スタートアップのニュースなどを配信するメディア)の事業譲受をされるなど、M&Aについても積極的に実施されています。実行にあたって意識されているポイントをお聞かせください。
M&Aや出資に関しては「事業シナジー」と「組織変革」のために実施しています。
「事業シナジー」に関しては大きく2パターンあって、PR TIMESの顧客基盤を活用してその事業が伸ばせるかどうか、もう1つはPR TIMESの事業価値を引き上げてくれるかどうか。
「組織変革」に関しては、通常のリクルーティングでは採用できない人がM&Aを通じて私たちの組織にジョインしてもらえるというメリットがあります。
「事業シナジー」については、BRIDGEの事業譲受が典型的な例です。
PR TIMESを利用したからといってBRIDGEに掲載されることはありませんが、スタートアップを取材対象とするメディアが短期的な収益化に焦ることなく、良質な記事をより多く書ける媒体になることは、PR TIMESの利用価値向上の遠因になります。
しかも、BRIDGEは共同創業者である平野武士さんをはじめとして、記事を書いているのは全員起業家。社員がいないという特異な集団です。だからこそ起業家と対等にインタビューができるメディアなのですが、そんな人たちと一緒に仕事ができるというのは普通のリクルーティングでは得られない貴重な機会です。
──さまざまな企業や自治体を巻き込む上で、気をつけているポイントはありますか?
「巻き込む」という言い方がよくなされますが、私は自らの目標のために協力者を巻き込んでいる状況をつくるのではなく、共通の目標の達成を目指して協力し合うということが大切だと思っています。
経営者1人がビジョナリーなわけではない
例えば地方自治体や地方金融機関とのアライアンスの場合。
日本全国どこでも素晴らしい製品や企業があれば、その地域を越えて広く知ってもらいたい、その企業にも成長してもらいたいし、そこで働く人たちにも充実した生活を送ってもらいたい、という同じ目標を共有しているからこそ、真に協力しあえる関係を築けます。
──少数精鋭の組織で、多方面のアライアンスをまとめられているのが印象的です。
単に経営者1人がビジョナリーなわけでなく、社員一人一人が思いと裁量権を持っているからこそ、実現できていると思います。
例えば、静岡の3つの信用金庫(静清信用金庫、浜松いわた信用金庫、三島信用金庫)との業務提携は、この地域を盛り上げたいという思いを持った若手社員がひとりで各庫とコミュニケーションをとって実現させました。浜松市との連携協定も静岡出身の新卒1年目の社員が担当しています。
画一的な能力や技術を持った人たちが集まってもチームは強くなりません。さまざまな経験や知識を持っているメンバーが共通の価値観と目標を持ち、お互いの強みで補完しあうからこそイノベーションが生まれるのだと信じています。