接種「完了」の定義変更も? 4回目ワクチンについて分かっていること

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新型コロナウイルスのワクチン接種を完了し、さらにブースター(追加免疫)接種を受けても感染する人が増加するなか、一部の国は4回目の接種(2回目のブースター接種)を推奨している。だが、専門家の間ではその必要性などについて、見方が分かれている。

イスラエル政府の諮問委員会は、保健省が発表した「4回目の接種により、3回の接種後と比べて感染を予防する効果が2倍、入院・重症化を防ぐ効果が3~5倍に高まる」との初期のデータに基づき、すべての成人に対し、2回目となる追加接種(ファイザーまたはモデルナ製)を勧めている。

ただ、同じイスラエルでは別の予備調査で、「2回目のブースター接種は、新たな変異株のオミクロン株には十分な効果を持たない可能性がある」との結果も公表されている。そのため専門家の中には、「そもそも4回目の接種が必要なのかどうか、判断できない」との意見もある。

ファイザーとモデルナ、そしてその他のワクチンメーカーは、オミクロン株により、2回目のブースター接種が必要になった可能性は「ある」との見方。また、ワクチンは接種後の時間の経過とともに、感染を防ぐ効果が弱まる。

ただ、ファイザーのアルバート・ブーラCEOは、4回目の接種が必要かどうかを明確にするためには、より多くのデータが必要だと述べている。

公表された初期のデータは、感染を防ぐ効果は3回目の接種から数週間で低下することを示している。だが、その後に発表された調査では、入院や重症化に対する有効性は強く保たれているとの結果が示されており、専門家らは、「ワクチン接種が重要な最大の理由は、重症化の予防だ」と指摘している。

一方、欧州医薬品庁(EMA)と世界保健機関(WHO)はいずれも、頻繁に追加接種が必要となることは、長期戦略としては持続可能ではないと警告。また、英政府の諮問機関、ワクチン・予防接種合同委員会(JCVI)は、追加接種によって十分な効果は得られているとして、現時点では4回目の接種は不要との見解を示している。
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編集 = 木内涼子

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