メタバース熱、テック大手のヘッドセット開発競争にも拍車

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フェイスブックは「メタ」への社名変更やコミカルなVR(仮想現実)キャラクターの登場するCMの放送を通じて、メタバースを世界に売り込んだ。そうして起きたのが「現代版ゴールドラッシュ」とでも呼べそうな事態である。ゲームメーカーなどは以前からVRやAR(拡張現実)を活用してきたわけだが、マーク・ザッカーバーグがメタバースこそ未来だと旗幟(きし)を鮮明にしたことで、将来途方もなく大きな業界に成長するかもしれないこの分野に食い込もうと、各社が殺到しているというわけだ。

グーグルやアップル、マイクロソフト、メタは、それぞれ自社のVR/ARヘッドセットを手ごろな価格で売り出して消費者の間で普及させようと、激しい競争を繰り広げている。もっともメタバースは、メガネ型など頭部に装着する機器を使わなくても、参加したり楽しんだりできるかもしれない。

メタバースをめぐっては、ザッカーバーグやメタが自分たちの仮想現実を所有しているかのように思っている人もいるかもしれないが、実際はそうではない。メタバースはインターネットと同じように、広く開かれたものだ。起業家のなかには、大胆にも、すでにメタバース内で不動産を建てたり買ったりしている人もいる。カナダの企業トークンズ・ドットコムのアンドルー・キーガル最高経営責任者(CEO)は、3D世界のプラットフォーム「ディセントラランド」で250万ドル(約2億9000万円)ほどのバーチャル不動産を購入したそうだ。ディセントラランドでの購入は、ブロックチェーン「イーサリアム」のトークンを用いて行われる。

仮想空間でゲームをしたり、つくったアイテムや施設などを取引したりできるメタバースを運営するザ・サンドボックスの共同創業者セバスチャン・ボルジェ最高執行責任者(COO)は、ディセントラランドには「デジタル国家」のような印象を受けると話す。ちなみにザ・サンドボックスは先ごろ、ソフトバンクグループの「ビジョン・ファンド2」が主導する資金調達ラウンドで9300万ドル(約110億円)を集めている。

メタバースの世界を十分に体験できるように、ビッグテック勢はヘッドセットをはじめとする機器も用意している。メタの「オキュラス・クエスト2」は、300〜400ドル(約3万4000〜4万6000円)という手に届きやすい価格帯のVRヘッドセットのひとつで、使い勝手も良好だ。
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編集=江戸伸禎

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