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2022.01.28

スタートアップの資金調達面談をピッチ動画に置き換えるべき理由

スタートアップの起業家として最も苦労することの1つが、資金調達です。多くの場合、説得力のあるストーリーを練ることからはじまり、続いて資料を用意し、何人ものベンチャーキャピタリストにピッチを行い、質問に答え、交渉しなければならず、必要な投資家をまとめ上げてラウンドをクローズするのに最低でも1カ月(長ければ6カ月)はかかるのです。

この従来の資金調達のやり方には、いくつもの問題点があります。

従来の資金調達の問題点


必要以上に時間がかかってしまう


起業家がアプローチする投資家の中には、実際のところそこまで興味を持ってくれていない相手も多いでしょう。

従来のやり方では、その見込みが薄い投資家相手にもピッチし、多くの時間を無駄にしてしまいます。言いかえれば、クオリファイド・リードに限らず、クオリファイドではない相手も含めてピッチをするやり方なのです。

さらに、興味を持ってくれている「クオリファイド」な相手であっても、多くのVCファームではパートナーレベルでの合意にいたらなければ投資できないため、今度は最初の担当者以外のチームメンバーともミーティングを重ね、説得しなければなりません。

そうしてようやく決断が出た頃には、いくつものミーティングで違うチームメンバーからの似たような質問に答えるなど、起業家の限られた時間を必要以上に消費してしまっているというわけです。その時間があれば、顧客獲得や重要なコアメンバー採用などでもっと有効的に使えたかもしれません。

「伝言ゲーム」になりがち


起業家が相手の担当者にピッチをしたら、次はその担当者がファームに戻って他のチームメンバーにも同じ内容を伝えなければなりません。

しかし、いくら起業家のピッチがわかりやすくて説得力があっても、ファームのGPたちにストーリーが響くかどうかは、結局はその担当者自身のピッチ能力次第なのです。子どものころに遊んだあの「伝言ゲーム」を何倍も難しくしたようなものです。

さらに困ったことに、ピッチの内容どころか、起業家のカリスマ性さえもが、ミーティングが終わった瞬間に担当者の記憶から薄れてしまいます。VCなら、ずば抜けた記憶力を持っているとか、メモの取り方が抜群にうまいなどと期待されるかもしれませんが、残念ながら違います。忖度なくものを言うVCとして正直に白状すると、恥ずかしながら、実際に私たちも会話の20%くらいしか覚えていないことがほとんどです。
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文=James Riney

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