幼児期のピーナッツ粉状タンパク質摂取でアレルギー低減の可能性

Photo Illustration by Scott Olson/Getty Images

幼児期にピーナッツのパウダー状タンパク質を摂取すると、子どもがピーナッツアレルギーを克服できる可能性があることが、医学誌「ランセット」に2022年1月22日付けで発表された研究で明らかになった。米国にはピーナッツアレルギーを持つ人がおよそ100万人おり、生死にかかわりかねない病気を防げる新たな希望が湧いたかたちだ。

この研究では、ピーナッツアレルギーを持つ子どもが、ピーナッツのパウダー状タンパク質を、30カ月にわたって徐々に量を増やすかたちで摂取した。その後、4歳未満の子どものうち71%が、ピーナッツ16個分に相当する量を摂取してもアレルギー反応が出なかったことがわかった。

幼い子どもには、免疫システムが柔軟なうちにピーナッツアレルギーを治療できる「絶好のタイミング」があることを、この研究は示唆している。

セラピーが終了してから6カ月後も、子どもたちの21%は、アレルギー反応が和らいだ状況が続いていた。

反応が急激で、命取りにもなりかねないピーナッツアレルギーは、米国の子どもたちのあいだで最も一般的な食物アレルギーの一つだ。そのため、ピーナッツが含まれた製品の提供を停止した学校もある。

米国アレルギー喘息免疫学会(ACAAI)によると、米国では推定で0.6%の人にピーナッツアレルギーがあり、その数は増加傾向にある。ピーナッツアレルギーの子どもは、2010年から2017年のあいだに21%増加した。

米食品医薬品局(FDA)は2020年、初の子ども向けピーナッツアレルギー治療薬「パルフォルツィア(Palforzia)」を承認した。しかしパルフォルツィアは、ピーナッツを思いがけず摂取してしまった場合にアレルギー反応を抑えるための予防薬であり、アレルギーを完全に治す薬ではない。ピーナッツのアレルギー反応が出たときには、エピペン(アドレナリン注射)でも対応できる。

ピーナッツアレルギーを持つ有名人には、女子テニスのトップ選手セリーナ・ウィリアムズや、歌手のケリー・クラークソン、コメディアンのレイ・ロマーノやビル・へイダー、元米大統領バラク・オバマの長女マリア・オバマなどがいる。

ACAAIによれば、ピーナッツアレルギーを持つ人の20%は、成長とともに自然に治っていくという。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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