この研究では、ピーナッツアレルギーを持つ子どもが、ピーナッツのパウダー状タンパク質を、30カ月にわたって徐々に量を増やすかたちで摂取した。その後、4歳未満の子どものうち71%が、ピーナッツ16個分に相当する量を摂取してもアレルギー反応が出なかったことがわかった。
幼い子どもには、免疫システムが柔軟なうちにピーナッツアレルギーを治療できる「絶好のタイミング」があることを、この研究は示唆している。
セラピーが終了してから6カ月後も、子どもたちの21%は、アレルギー反応が和らいだ状況が続いていた。
反応が急激で、命取りにもなりかねないピーナッツアレルギーは、米国の子どもたちのあいだで最も一般的な食物アレルギーの一つだ。そのため、ピーナッツが含まれた製品の提供を停止した学校もある。
米国アレルギー喘息免疫学会(ACAAI)によると、米国では推定で0.6%の人にピーナッツアレルギーがあり、その数は増加傾向にある。ピーナッツアレルギーの子どもは、2010年から2017年のあいだに21%増加した。
米食品医薬品局(FDA)は2020年、初の子ども向けピーナッツアレルギー治療薬「パルフォルツィア(Palforzia)」を承認した。しかしパルフォルツィアは、ピーナッツを思いがけず摂取してしまった場合にアレルギー反応を抑えるための予防薬であり、アレルギーを完全に治す薬ではない。ピーナッツのアレルギー反応が出たときには、エピペン(アドレナリン注射)でも対応できる。
ピーナッツアレルギーを持つ有名人には、女子テニスのトップ選手セリーナ・ウィリアムズや、歌手のケリー・クラークソン、コメディアンのレイ・ロマーノやビル・へイダー、元米大統領バラク・オバマの長女マリア・オバマなどがいる。
ACAAIによれば、ピーナッツアレルギーを持つ人の20%は、成長とともに自然に治っていくという。