コミュニケーションの達人への扉を開く、たった1つの質問

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コミュニケーションの達人になる秘訣とは何だろうか? 皮肉なことに、優れたコミュニケーションとは、話し手の口から発される言葉そのものよりも、聞き手の耳に入る言葉の方が大きな意味を持つものだ。そして、「どのような言葉が実際に耳に入るか」は、話し手の発するメッセージが、聞き手が好むコミュニケーションのスタイルに沿ったものになっているか?という点に左右される部分が大きい。

筆者が率いるリーダーシップIQでは、「What’s Your Communication Style?(あなたのコミュニケーションのスタイルは?)」というテストを実施している。このテストを受けた100万人以上の回答データを基にした分析から、コミュニケーションのスタイルには、大きく分けて4つのタイプがあることがわかった。

・直観(Intuitive)型は、結論を聞こうとする。途中をスキップして最終結論に向かい、全体像が把握できる話を求める。そのため、重要だが細かい話になると、耳を貸さない傾向がある。

・機能(Functional)型は、直観型とは逆で、重要な話であれば細かい点にも集中して耳を傾けるタイプだ。会話やプレゼンテーションについても、ステップ・バイ・ステップで直線的に進み、順序だった伝え方を好む。

・分析(Analytical)型は、人の話から確実なデータや数字、分析を得ようとする。話し手が感情をあらわにしたり、感覚的な言葉を多く使ったりすると、言葉が耳に入らなくなる。

・人格(Personal)型は、気持ちや感情、人間のあいだの関係にまつわる要素を求め、そうした話に耳を傾ける。

コミュニケーションの達人になりたいなら、最初に取り組むべきことの一つは、メッセージを伝える相手が好むコミュニケーションのタイプを見極めることだ。そしてそのためには、聞き手に対して「あなたがお聞きになりたいことは何ですか?」という趣旨の質問をすることを習慣づけよう。

その時々の状況によって、この質問は、「今日、私から一番聞きたいことを1つ選ぶとしたら、それは何でしょう?」かもしれない。あるいは、「あなたと私が共有できる事柄には何がありますか?」と言い換えても良いだろう。聞き手が好むコミュニケーションのタイプについて情報を集められるものであれば、質問はどんなふうにアレンジしてもかまわない。

直観型の相手と話している場合は、「結論から言ってくれませんか?」などと要請されるケースが多いはずだ。また、相手が機能型なら、話題に上っている状況の発端、そして最初に起きたこと、次に起きたことは何なのかと順番に知りたがるだろう。

分析型のコミュニケーションを好むタイプなら、データを含む要素、例えば、あるもののコストはいくらか、所要時間はどのくらいか、といったことに興味を持つことが多い。そして、人格型のタイプであれば、人がどう感じたか、そこにどんな感情があるのか、といったことを知ろうとするだろう。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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